命の祈り



――翌日。

登校した私は、だれとも目を合わせず自席へ向かった。

しかし机の前で、ピタリと止まる。

「……」 

昨日の放課後、潰した虫が当然のごとくまだ机の上に残っていた。

私は無言でポケットから取り出したティッシュに息の根がない虫を包み、近くにあったゴミ箱に捨てた。

再び取り出したティッシュで虫の跡を拭きながら、ふと思う。

なんで虫は潰しても、血が出ないのだろう。

人間は、潰れたら真っ赤な鮮血がダラダラと出るのにな。

同じ生き物なのに、なんだか不思議。

…まぁ、別にその理由なんてどうでもいいんだけど。

そう思いながら、虫の跡を拭き取ったティッシュも捨ててやっと席に座った。