ベストフレンズ

この物語を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

『ベストフレンズ』は、フィクションです。悠真も、紗奈も、恒一も、玲奈も、実在の人物ではありません。

けれど、この物語を書くきっかけになったのは、実在した、私にとってかけがえのない二人の友人でした。

彼らは、私にとって、まさに「ベストフレンズ」でした。何でも話せて、何も話さなくても隣にいられて、それが当たり前だと思っていました。

でも、私は気づけませんでした。

彼らが抱えていた苦しさに。彼らが発していたはずの、小さなサインに。

彼らは、もうこの世にいません。

この物語の中で、紗奈は生き延びます。悠真は気づきます。周りの人たちは、踏み込みます。

それは、現実には叶わなかったことです。

だからこそ、私はこの物語の中で、彼らに──そして、彼らのような苦しみを抱えるすべての人に──伝えたかったのだと思います。

「大丈夫」の裏側にあるものに、気づきたかった。

「消えたい」と思うほどの苦しさの中にも、「見つけてほしい」という気持ちが、きっとあったはずだと、信じたかった。

そして何より、分かり合えなくても、隣にいることをやめない人間でいたかった。

この物語を書いている間、何度も、あの二人の顔が浮かびました。

もし、もっと早く気づけていたら。もし、もっと踏み込んでいたら。

答えのない「もし」を、何度も何度も、繰り返しました。

でも、この物語を書き終えた今、少しだけ思うことがあります。

彼らのことを、こうして物語という形にして、誰かに届けること。それも一つの「隣にいる」形なのかもしれない、と。

もしあなたの周りに、「大丈夫」と言いながら、本当は大丈夫じゃない誰かがいたら。

どうか、その言葉の裏側に、少しだけ目を向けてみてください。

そして、もしあなた自身が、「大丈夫」と言い続けているなら。

その言葉を、一度だけでいいので、飲み込まずに、誰かに手渡してみてください。

この物語が、誰かにとっての小さなきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

そして──

大切な友人たちへ。

ずっと、ベストフレンズだったよ。

一人の友人を見送ったあと、私は、もう届かないと分かっていながら、メールを送りました。
返事が来るはずのないその宛先に、私はただ、伝えたかったことを綴りました。

しばらくして、届いたのは、友人のお兄様からの返信でした。

「今ごろ、大空を自由に飛び回っていることでしょう」

その言葉に、私はどれほど救われたか分かりません。

悲しみの中にいたはずのお兄様が、それでも、そんな風に見送る言葉をくださったこと。それもまた、一つの「隣にいる」形だったのだと、今なら思います。

この物語が、誰かにとって、そんな風に届く言葉になれば。