七月初旬。夏休みを目前に、クラスは少しだけ浮かれた空気になっていた。悠真と紗奈はいつものように昼食を共にしながら、夏休みの予定について話していた。
「今年は花火大会、行けそう?」と紗奈が聞く。
去年は紗奈の体調が不安定で、結局行けなかった。悠真はその記憶を思い出しながら、「行けたらいいな」とだけ答えた。期待しすぎないように、でも諦めないように。そのバランスを、悠真は少しずつ覚えていた。
「無理だったら無理でいいよ。その時々で決めよう」
紗奈がそう言ったことに、悠真は少し驚いた。以前なら「絶対行く」と決めて、それが守れなかった時に余計に自分を責めていたはずだった。
恒一は夏期講習に申し込んだらしい。「進路、ちゃんと考えてみる」と珍しく真面目な顔で言った。
「お前と紗奈見てたら、俺も自分のことちゃんとやらなきゃって思った」
「俺たちのせいにするなよ」
「いや、いい意味でだよ」
恒一は笑いながら、自分の参考書を見せた。悠真はその姿に、恒一なりの変化を感じた。
部室では、玲奈が夏のコンクール用に最終的な展示作品を選んでいた。悠真の写真も三枚選ばれた。河川敷の夕日、自転車の影、そして文化祭の時の「二人の影」。
「これ、もう一回出すんだ」と悠真が聞く。
「うん。一番、悠真らしいと思うから」
紗奈にその話をすると、「私が写ってる写真、また見られるんだ」と少し恥ずかしそうに言った。
「嫌だった?」
「ううん。今は、嫌じゃない」
その言葉に、悠真は小さな安心を感じた。
夏休み前最後の夜、紗奈から電話が来た。
「最近、悪い日も悪いまま終わらせられるようになってきた気がする」
「どういう意味?」
「前は、悪い日があると、それがずっと続くんじゃないかって怖かった。今は、悪い日は悪い日で、明日は別かもしれないって思える」
悠真はその言葉を、ゆっくり受け止めた。
「それ、すごい変化だと思う」
「悠真がいたから」
「俺だけじゃないだろ。恒一も玲奈も、先生も」
「うん。でも、悠真が一番隣にいた」
電話を切った後、悠真は窓の外を見ながら、これまでの一年を思い返していた。完璧ではない。波もまだある。でも、二人とも、少しずつ違う場所に立てている気がした。
「今年は花火大会、行けそう?」と紗奈が聞く。
去年は紗奈の体調が不安定で、結局行けなかった。悠真はその記憶を思い出しながら、「行けたらいいな」とだけ答えた。期待しすぎないように、でも諦めないように。そのバランスを、悠真は少しずつ覚えていた。
「無理だったら無理でいいよ。その時々で決めよう」
紗奈がそう言ったことに、悠真は少し驚いた。以前なら「絶対行く」と決めて、それが守れなかった時に余計に自分を責めていたはずだった。
恒一は夏期講習に申し込んだらしい。「進路、ちゃんと考えてみる」と珍しく真面目な顔で言った。
「お前と紗奈見てたら、俺も自分のことちゃんとやらなきゃって思った」
「俺たちのせいにするなよ」
「いや、いい意味でだよ」
恒一は笑いながら、自分の参考書を見せた。悠真はその姿に、恒一なりの変化を感じた。
部室では、玲奈が夏のコンクール用に最終的な展示作品を選んでいた。悠真の写真も三枚選ばれた。河川敷の夕日、自転車の影、そして文化祭の時の「二人の影」。
「これ、もう一回出すんだ」と悠真が聞く。
「うん。一番、悠真らしいと思うから」
紗奈にその話をすると、「私が写ってる写真、また見られるんだ」と少し恥ずかしそうに言った。
「嫌だった?」
「ううん。今は、嫌じゃない」
その言葉に、悠真は小さな安心を感じた。
夏休み前最後の夜、紗奈から電話が来た。
「最近、悪い日も悪いまま終わらせられるようになってきた気がする」
「どういう意味?」
「前は、悪い日があると、それがずっと続くんじゃないかって怖かった。今は、悪い日は悪い日で、明日は別かもしれないって思える」
悠真はその言葉を、ゆっくり受け止めた。
「それ、すごい変化だと思う」
「悠真がいたから」
「俺だけじゃないだろ。恒一も玲奈も、先生も」
「うん。でも、悠真が一番隣にいた」
電話を切った後、悠真は窓の外を見ながら、これまでの一年を思い返していた。完璧ではない。波もまだある。でも、二人とも、少しずつ違う場所に立てている気がした。



