私のおばは、それは見事なドールハウスを持っていた。
サイズは約6畳の部屋ほどもあり、そこでは20センチほどの人形が40体近くも「生活」していた。人形たちは美しいドレスを纏い、優雅にお茶を飲んだり、本を読んだりしている。おばは一日の大半をドールハウス作りに費やし、その空間をどこまでも洗練されたものへと仕立て上げていた。
ある日、私は気になって尋ねてみた。
「ねえ、どうしてそんなにドールハウスにこだわるの?」
おばは遠い目をして、静かに語り始めた。
おばが8歳のときのことだ。リカちゃんハウスで遊んでいると、そのリカちゃんと同じくらいの大きさの、本物の「妖精」がどこからともなく近寄ってきたのだという。
妖精はドールハウスの小さな椅子に腰掛け、おばに向かってニコリと微笑んだ。おばは歓喜し、その小さな手を取ろうとした。しかし、触れる直前で妖精は掻き消えるようにいなくなってしまった。
「こんな風に、あのときよりももっと素敵なお部屋を準備しておいたら……また妖精さんが遊びに来てくれるかもしれないでしょ?」
おばは愛おしそうにドールハウスを見つめながら言った。
私が「もしまた遊びに来たら、どうするの?」と聞くと、おばは表情ひとつ変えずに答えた。
「見つけ次第、ぶち殺す」
おばは8歳のあの日以来、周囲から「狂人の嘘つき」と呼ばれ、孤独な半生を送ってきた。おばは、自分の人生を狂わせた引き金を、その手でへし折りたいのだろう。
サイズは約6畳の部屋ほどもあり、そこでは20センチほどの人形が40体近くも「生活」していた。人形たちは美しいドレスを纏い、優雅にお茶を飲んだり、本を読んだりしている。おばは一日の大半をドールハウス作りに費やし、その空間をどこまでも洗練されたものへと仕立て上げていた。
ある日、私は気になって尋ねてみた。
「ねえ、どうしてそんなにドールハウスにこだわるの?」
おばは遠い目をして、静かに語り始めた。
おばが8歳のときのことだ。リカちゃんハウスで遊んでいると、そのリカちゃんと同じくらいの大きさの、本物の「妖精」がどこからともなく近寄ってきたのだという。
妖精はドールハウスの小さな椅子に腰掛け、おばに向かってニコリと微笑んだ。おばは歓喜し、その小さな手を取ろうとした。しかし、触れる直前で妖精は掻き消えるようにいなくなってしまった。
「こんな風に、あのときよりももっと素敵なお部屋を準備しておいたら……また妖精さんが遊びに来てくれるかもしれないでしょ?」
おばは愛おしそうにドールハウスを見つめながら言った。
私が「もしまた遊びに来たら、どうするの?」と聞くと、おばは表情ひとつ変えずに答えた。
「見つけ次第、ぶち殺す」
おばは8歳のあの日以来、周囲から「狂人の嘘つき」と呼ばれ、孤独な半生を送ってきた。おばは、自分の人生を狂わせた引き金を、その手でへし折りたいのだろう。



