私は、何かに愛着を持ちすぎてしまう傾向がある。
小学生のときのこと。理科の授業でモンシロチョウの卵をもらい、自宅で育てることになった。私は毎日毎日、それこそ執念に近いほど大切に世話をした。卵から青虫へ、青虫からさなぎへ、そしてある日、それは本当にきれいな白い蝶になった。
手元で羽ばたく姿を見た瞬間、胸を満たしたのは喜びではなく、激しい恐怖だった。
この蝶が、いつか死ぬのが不安でたまらなくなったのだ。
せっかく自分の手で完璧に育て上げた美しいものが、色褪せ、動かなくなる姿を見たくなかった。死ぬ瞬間を見なければ、私の中でこの蝶は永遠に生き続ける。そう考えた私は、自宅にあったからくり細工の「箱根寄木細工」の秘密箱に、まだ生きている蝶をそっと閉じ込め、二度と開かないように複雑な仕掛けをロックした。
あれから20年が経った。
モンシロチョウの寿命は、成虫になってからせいぜい数週間のはずだ。
それなのに、私の部屋の片隅にある箱根細工の中からは、今も、何かがカサカサと壁を引っ掻くような音が聞こえてくることがある。
小学生のときのこと。理科の授業でモンシロチョウの卵をもらい、自宅で育てることになった。私は毎日毎日、それこそ執念に近いほど大切に世話をした。卵から青虫へ、青虫からさなぎへ、そしてある日、それは本当にきれいな白い蝶になった。
手元で羽ばたく姿を見た瞬間、胸を満たしたのは喜びではなく、激しい恐怖だった。
この蝶が、いつか死ぬのが不安でたまらなくなったのだ。
せっかく自分の手で完璧に育て上げた美しいものが、色褪せ、動かなくなる姿を見たくなかった。死ぬ瞬間を見なければ、私の中でこの蝶は永遠に生き続ける。そう考えた私は、自宅にあったからくり細工の「箱根寄木細工」の秘密箱に、まだ生きている蝶をそっと閉じ込め、二度と開かないように複雑な仕掛けをロックした。
あれから20年が経った。
モンシロチョウの寿命は、成虫になってからせいぜい数週間のはずだ。
それなのに、私の部屋の片隅にある箱根細工の中からは、今も、何かがカサカサと壁を引っ掻くような音が聞こえてくることがある。



