夢百夜

中学生のときのこと。
それはそれは美しい少女に出会った。彼女は不登校で、実の兄と愛し合っていた。兄もほとんど学校には行っておらず、妹との時間を極上のものだと考えているようだった。

二人はいつも「いずれ年を取ったら、親や世間に引き離されてしまうのが怖い」と、まだ見ぬ未来に怯えていた。

ある日、私の元に二人から大きな荷物が届いた。
中を開けると、美しいドールハウスと、精巧に作られた男の子と女の子の人形が入っていた。添えられていた手紙には、こう書かれていた。

『私たちは人形になることにしました。友人のあなた。どうか私たちを世間から隠して、守ってください』

あいにく、私は私立高校の受験を控えていて、そんな面倒なものを引き受ける心の余裕はなかった。私のおばが人形好きだったのを思い出して、おばに相談すると、彼女は中身を見もしないで「いらないものは、庭で燃やしちゃいなさい」と言った。

私は言われた通り、ドールハウスと二体の人形を庭に持っていき、そのまま火をつけた。
ドールハウスが激しく燃え上がったそのとき、炎の中から、耳を突き刺すような甲高い男女の悲鳴が聞こえてきた。
ご近所の目もあるし、ひどく迷惑だと思った。なお、私は第一志望の高校受験に無事成功した。