私がまだ少女だったときのことだ。
図書館の児童書コーナーで「かぐや姫」の絵本を読んでいると、20歳くらいの美しい女性がすっと隣に座り、話しかけてきた。彼女は絵本を指さし、静かにこう言った。
「その絵本に出てくるお姫様、実は私なのよ」
幼心に、私は「あ、この人おかしい人かな?」と思った。
関わらない方がいいと思いつつも、好奇心に負けて「でも、あなたは、月の都に帰ったんでしょう?」と話を合わせて尋ねてみた。すると彼女は、悲しげに小さく頷いた。
彼女の語る内容は奇妙なものだった。
月に帰ってから300年ほど経った頃、月の都で大規模な戦争が起きたのだという。その戦争によって月が誇ったすべての高度な文明は崩壊し、月人たちも死に絶えていった。
かつて地球での生活経験があり、地球側に身寄りのあった彼女だけが、辛うじてこの星へと亡命できたのだという。
私は「うん、やっぱりこの人はおかしい」と確信して逃げ出した。
けれど、大人になった今、ふと思うことがある。
今から1000年以上も前の平安時代に、空を飛ぶ乗り物で宇宙を行き来していたような高度な文明だ。それほどの科学力を持った狂気的な社会なら、その後の1000年の間に、核か何かの最終兵器で自滅して滅んでしまったとしても、何もおかしくはないのではないか、と。
図書館の児童書コーナーで「かぐや姫」の絵本を読んでいると、20歳くらいの美しい女性がすっと隣に座り、話しかけてきた。彼女は絵本を指さし、静かにこう言った。
「その絵本に出てくるお姫様、実は私なのよ」
幼心に、私は「あ、この人おかしい人かな?」と思った。
関わらない方がいいと思いつつも、好奇心に負けて「でも、あなたは、月の都に帰ったんでしょう?」と話を合わせて尋ねてみた。すると彼女は、悲しげに小さく頷いた。
彼女の語る内容は奇妙なものだった。
月に帰ってから300年ほど経った頃、月の都で大規模な戦争が起きたのだという。その戦争によって月が誇ったすべての高度な文明は崩壊し、月人たちも死に絶えていった。
かつて地球での生活経験があり、地球側に身寄りのあった彼女だけが、辛うじてこの星へと亡命できたのだという。
私は「うん、やっぱりこの人はおかしい」と確信して逃げ出した。
けれど、大人になった今、ふと思うことがある。
今から1000年以上も前の平安時代に、空を飛ぶ乗り物で宇宙を行き来していたような高度な文明だ。それほどの科学力を持った狂気的な社会なら、その後の1000年の間に、核か何かの最終兵器で自滅して滅んでしまったとしても、何もおかしくはないのではないか、と。



