「悪鬼でさえ厄介なのに西洋あやかしまで相手してられるか!」
「旦那様……」
辰彦が盃を片手に荒々しく叫んだ。そんな辰彦を慰めるように、千代は盃に酒を注いでいく。そして辰彦はやけくそでぐいっと一気に飲み干した。
顔を赤くしてすっかり酔っ払った辰彦がポツリと漏らした。
「あいつが……ひっく。小春が死んでくれればいいのだがな」
小春は耳を疑った。
ーーえ?
部屋の灯りが気になって様子を見に来てみた小春は、自ら口を塞いだ。体はカタカタと震えており、瞳はじんわりと潤っていく。
きっと聞き間違いだと信じたかった。
酔っていたとしても、実の父親から聞きたい言葉ではなかった。
けれど現実は残酷で、千代もため息をついて辰彦に同意したのだ。
「本当に。小春が伯爵様の作戦の中で死んでくれれば悪鬼もこの椎原家に執着しなくなるでしょうし」
「ああ全くだ。あの日から生きた心地がしない」
「悪鬼も小春も居なくなれば椎原家は安泰ですわ」
「死んでくれたら陰陽庁から手当金も入るだろうしな」
「あら!いい事ばかりではないですか!」
そう言って両親は高笑いした。
ーーひ、酷い……。
部屋の灯りで二人の影が入り口まで伸びている。入り口で立ち尽くす小春にはその二人の影に鬼の角が生えているようにさえ見えた。
ーーこれじゃ悪鬼と何も変わらないわ。
小春は涙がこぼれないよう歯を食いしばって堪えた。
「嗚呼はやく死んでほしい」
千代が酒を注ぎながら、そう言う。辰彦も笑ってばかりで否定しない。
時間が経てば元の生活に戻れると信じていた。
二年前の事件が解決したら、あの頃の厳しくも優しい両親が戻ってくるのだと。
けれどそれは違った。
あの事件から両親はとっくに小春のことなんて実の子どもだとさえ思っていなかった。死んで欲しいと願うほどに鬱陶しい存在でしかなかったのだ。
ーー私の居場所なんてとうの昔から無かったのね。
この家を出る前に知れて良かったのかもしれない、と小春は思った。
ーーもう、この家に……椎原家に未練なんてない。
陰陽師として両親に認められようと努力して来た十四年間が、そして事実も聞いてもらえず部屋に閉じ込められて耐えて過ごしてきた二年間が、呆気なく崩れていく。
自分の部屋に戻った小春は涙が止まらなくなっていた。
この部屋に小春の物は何一つない。
この部屋に閉じ込められた時から、椎原小春は死んだも同然だったのだ。
そのことを小春はようやく思い知ったのだった。
◆◆◆
そして数日後の晴天の嫁入り日和の日。
小春はほんの僅かの荷物をかかえて椎原家の門をくぐった。いつもなら使用人達が掃除や用事で忙しなく出入りする庭も、今日に限ってはしんと静まり返っている。ただ小春が歩く砂利の音だけが響いている。
今日小春が出て行く日というのは、この屋敷の人間なら皆が知っていた。小春がこの家から出る。だからこそ悪鬼が襲ってくるかもしれない、と誰もが恐れて身を隠していた。
これが今生の別れだとしても、誰一人として小春に会おうとは思わなかったのだ。
ーー覚悟していたけど、まさか本当に誰も来ないなんてね。
吹っ切れた小春も椎原家を振り返ったりはしない。ただ少しだけ、寂しさは感じていた。
「小春ー」
「小春バイバイー」
しかしそれは屋敷の中だけだった。
屋敷を出ると、この土地を離れられないあやかし達が手を振っていたのだ。椎原邸の門前に集まったあやかしの数はかなりのものだった。さすがの多さに小春も目をぱちくりさせた。
けれど嬉しかった。
小春は思わず笑みをこぼし、あやかし達に小さく手を振った。そして小春についていくあやかし達は次々と小春の後ろについていく。
「バイバーイ」
「フフ、百鬼夜行ミターイ」
「懐カシイネ」
そう言うあやかし達の後ろに、どんどんと色んなあやかしが続いて、本当に百鬼夜行のようになった。
あやかし達が鼻歌を歌いながらこの小さな町を去っていく。その姿が見える人間は少ない。
しかし、その様子を屋敷の窓からこっそり見ていた秋穂は汚いものでももるかのような表情をしていた。
「最後まで気味悪い」
そう言いながら小春とあやかし達の姿が見えなくなるまで見ていた。
あれほどのあやかしを従えることができる力が、小春にはある。けれど秋穂にはない。
その実力差をまざまざと見せつけられているようで、秋穂は悔しくて仕方なかった。ようやく消えてくれたというのに、秋穂の心の中で小春の存在はどうしても消えない大きなものになっていったのだった。
◆◆◆
小春の住んでいた町は東京の都心からそう離れておらず、歩いて半日ほどで着く距離にある。朝早くから出発した小春も昼過ぎにはロイの住む屋敷に到着した。
都心の中でも中心部にある西洋風の煉瓦造りの屋敷がアスター伯爵邸だ。小春は今までに見た事がない様相の建物に、ただただ驚いていた。
そんな呆然と屋敷の前で立ち尽くす小春の姿を、ロイが窓から眺めていた。
「来たか」
一人で小さな荷物を抱える小春に、ロイは思わず眉間に皺を寄せた。
ーーやはりか。
ロイから見ても小春が椎原家で虐げられているのは明らかだった。事前の調査で椎原家には直系の娘が一人いて不遇な対応をされているという事は知っていたが、まさか居ない存在として扱われていようとは思わなかった。
しかしロイには納得できなかった。
今も小春には無数のあやかしが付き従っている。しかもあやかしの中には中級程度の力を持つあやかしまでいるのだ。その力量を見ると、椎原家で粗末に扱われる理由がわからなかった。
ーー椎原家で最も実力があるのは彼女だろうに。
少ししか関わりのないロイから見ても、小春の力量は椎原家の中ではずば抜けていた。それだけの力を持ちながら冷遇されていたのかと思うと頭痛がした。
その時、扉がノックされ一人の男性が入ってきた。執事の制服に身を包んだ茶髪に緑色の目をした若い男性だ。
「ロイ様、椎原小春様が到着されました」
「ジェームズか。見ていたから知っている」
「ではあのあやかし達のことも?」
「ああ。物凄い数だな」
ジェームズは納得がいかない顔を見せた。その表情を見たロイは不敵な笑みを浮かべた。
「どうしたジェームズ。不満そうだな」
「当然でしょう」
全て知っているだろうに、とジェームズはため息をついた。そして手に持っていた書類をロイに差し出した。
「二年前の事件の報告はしましたよね。あの娘は諸刃の剣ですよ」
ジェームズから書類を受け取ったロイは書類に目を通した。
そこには二年前、小春が秋穂の策略によって封印されていた悪鬼を解き放ってしまったこと、そしてその悪鬼から隠すために部屋に閉じ込められて育ったことが記されていた。
「小春様の実力は確かでしょう。けれど今の彼女は悪鬼に狙われる厄介者でしかありません。そんな彼女を我が屋敷に引き入れるメリットがありますか?」
ロイは不敵に笑ってみせた。
「メリットしか感じないな。そもそも悪鬼ごとき俺が退治できないとでも思っているのか?」
ロイも本国イギリスではそれなりの実力者だった。妖精と人間の仲介役、そして時には悪魔退治や吸血鬼討伐までしていた。その実力を認められたからこそ若くして伯爵の地位にまでのぼり詰めた。
その自信からロイは自分が悪鬼に負けるはずがないと思っていた。
それにはジェームズも反論できなかった。
「……ですが結婚までされなくても良かったのではないですか?」
確かに、とロイは思った。いつもならこんな回りくどい事などしない。手段など選ばず力でねじ伏せて、目的を達成する。それが「悪魔」と恐れられるアスター伯爵のやり方だ。
なのに何故か小春を一目見た時から気掛かりで仕方ないのだ。気になって、ついそばに置くために結婚するとまで行ってしまった。もしそばに置いて気のせいだと分かれば、離婚すれば良いと思ったのだ。
今はただ、小春を近くにおきたい。
それしか頭になかった。
「気まぐれだ。それにそちらの方が動きやすいし、結婚披露宴とかで作戦がたてやすいだろう」
「確かにそれもありますが」
もっともらしい言い分だったが、ジェームズは腑に落ちなかった。
「あの娘がロイ様の『運命の血』なのではありませんか?」
「ははっ。ありえないな」
ロイは鼻で笑った。
『運命の血』とは、吸血鬼にとって唯一無二の存在のことである。人間の血を糧とする吸血鬼にとって、自らの力を最大限に引き出してくれる人間がいるというのだ。『運命の血』を手に入れた吸血鬼は世界をも手に入れられると言われるほど強い力を持つ。しかし、そうそう会えるはずもなく、歴史的にも『運命の血』と出会えた吸血鬼は片手で数えられるほどしかいないと言われている。
しかも詳しい文献も残っておらず、今となっては何の根拠もない噂話になっていた。
「運命の血など御伽話にすぎん」
当然ロイも信じていなかった。
ロイは自分の手に視線を落とした。
ロイの血にも、半分だけ吸血鬼の血が流れている。代々吸血鬼討伐・バンパイヤハンターの家系のアスター伯爵。ロイの父親もバンパイヤハンターだった。しかしロイの父親は吸血鬼と人間の共存を望み、妻に吸血鬼を迎えた。そうして生まれたのが、ロイだった。
様々な苦労はあったものの、ようやく伯爵の地位まで登りつめたのだ。
異国の地での任務を失敗するわけにはいかない。
拳を握りしめ、ロイはゆっくり前を向いた。
「旦那様……」
辰彦が盃を片手に荒々しく叫んだ。そんな辰彦を慰めるように、千代は盃に酒を注いでいく。そして辰彦はやけくそでぐいっと一気に飲み干した。
顔を赤くしてすっかり酔っ払った辰彦がポツリと漏らした。
「あいつが……ひっく。小春が死んでくれればいいのだがな」
小春は耳を疑った。
ーーえ?
部屋の灯りが気になって様子を見に来てみた小春は、自ら口を塞いだ。体はカタカタと震えており、瞳はじんわりと潤っていく。
きっと聞き間違いだと信じたかった。
酔っていたとしても、実の父親から聞きたい言葉ではなかった。
けれど現実は残酷で、千代もため息をついて辰彦に同意したのだ。
「本当に。小春が伯爵様の作戦の中で死んでくれれば悪鬼もこの椎原家に執着しなくなるでしょうし」
「ああ全くだ。あの日から生きた心地がしない」
「悪鬼も小春も居なくなれば椎原家は安泰ですわ」
「死んでくれたら陰陽庁から手当金も入るだろうしな」
「あら!いい事ばかりではないですか!」
そう言って両親は高笑いした。
ーーひ、酷い……。
部屋の灯りで二人の影が入り口まで伸びている。入り口で立ち尽くす小春にはその二人の影に鬼の角が生えているようにさえ見えた。
ーーこれじゃ悪鬼と何も変わらないわ。
小春は涙がこぼれないよう歯を食いしばって堪えた。
「嗚呼はやく死んでほしい」
千代が酒を注ぎながら、そう言う。辰彦も笑ってばかりで否定しない。
時間が経てば元の生活に戻れると信じていた。
二年前の事件が解決したら、あの頃の厳しくも優しい両親が戻ってくるのだと。
けれどそれは違った。
あの事件から両親はとっくに小春のことなんて実の子どもだとさえ思っていなかった。死んで欲しいと願うほどに鬱陶しい存在でしかなかったのだ。
ーー私の居場所なんてとうの昔から無かったのね。
この家を出る前に知れて良かったのかもしれない、と小春は思った。
ーーもう、この家に……椎原家に未練なんてない。
陰陽師として両親に認められようと努力して来た十四年間が、そして事実も聞いてもらえず部屋に閉じ込められて耐えて過ごしてきた二年間が、呆気なく崩れていく。
自分の部屋に戻った小春は涙が止まらなくなっていた。
この部屋に小春の物は何一つない。
この部屋に閉じ込められた時から、椎原小春は死んだも同然だったのだ。
そのことを小春はようやく思い知ったのだった。
◆◆◆
そして数日後の晴天の嫁入り日和の日。
小春はほんの僅かの荷物をかかえて椎原家の門をくぐった。いつもなら使用人達が掃除や用事で忙しなく出入りする庭も、今日に限ってはしんと静まり返っている。ただ小春が歩く砂利の音だけが響いている。
今日小春が出て行く日というのは、この屋敷の人間なら皆が知っていた。小春がこの家から出る。だからこそ悪鬼が襲ってくるかもしれない、と誰もが恐れて身を隠していた。
これが今生の別れだとしても、誰一人として小春に会おうとは思わなかったのだ。
ーー覚悟していたけど、まさか本当に誰も来ないなんてね。
吹っ切れた小春も椎原家を振り返ったりはしない。ただ少しだけ、寂しさは感じていた。
「小春ー」
「小春バイバイー」
しかしそれは屋敷の中だけだった。
屋敷を出ると、この土地を離れられないあやかし達が手を振っていたのだ。椎原邸の門前に集まったあやかしの数はかなりのものだった。さすがの多さに小春も目をぱちくりさせた。
けれど嬉しかった。
小春は思わず笑みをこぼし、あやかし達に小さく手を振った。そして小春についていくあやかし達は次々と小春の後ろについていく。
「バイバーイ」
「フフ、百鬼夜行ミターイ」
「懐カシイネ」
そう言うあやかし達の後ろに、どんどんと色んなあやかしが続いて、本当に百鬼夜行のようになった。
あやかし達が鼻歌を歌いながらこの小さな町を去っていく。その姿が見える人間は少ない。
しかし、その様子を屋敷の窓からこっそり見ていた秋穂は汚いものでももるかのような表情をしていた。
「最後まで気味悪い」
そう言いながら小春とあやかし達の姿が見えなくなるまで見ていた。
あれほどのあやかしを従えることができる力が、小春にはある。けれど秋穂にはない。
その実力差をまざまざと見せつけられているようで、秋穂は悔しくて仕方なかった。ようやく消えてくれたというのに、秋穂の心の中で小春の存在はどうしても消えない大きなものになっていったのだった。
◆◆◆
小春の住んでいた町は東京の都心からそう離れておらず、歩いて半日ほどで着く距離にある。朝早くから出発した小春も昼過ぎにはロイの住む屋敷に到着した。
都心の中でも中心部にある西洋風の煉瓦造りの屋敷がアスター伯爵邸だ。小春は今までに見た事がない様相の建物に、ただただ驚いていた。
そんな呆然と屋敷の前で立ち尽くす小春の姿を、ロイが窓から眺めていた。
「来たか」
一人で小さな荷物を抱える小春に、ロイは思わず眉間に皺を寄せた。
ーーやはりか。
ロイから見ても小春が椎原家で虐げられているのは明らかだった。事前の調査で椎原家には直系の娘が一人いて不遇な対応をされているという事は知っていたが、まさか居ない存在として扱われていようとは思わなかった。
しかしロイには納得できなかった。
今も小春には無数のあやかしが付き従っている。しかもあやかしの中には中級程度の力を持つあやかしまでいるのだ。その力量を見ると、椎原家で粗末に扱われる理由がわからなかった。
ーー椎原家で最も実力があるのは彼女だろうに。
少ししか関わりのないロイから見ても、小春の力量は椎原家の中ではずば抜けていた。それだけの力を持ちながら冷遇されていたのかと思うと頭痛がした。
その時、扉がノックされ一人の男性が入ってきた。執事の制服に身を包んだ茶髪に緑色の目をした若い男性だ。
「ロイ様、椎原小春様が到着されました」
「ジェームズか。見ていたから知っている」
「ではあのあやかし達のことも?」
「ああ。物凄い数だな」
ジェームズは納得がいかない顔を見せた。その表情を見たロイは不敵な笑みを浮かべた。
「どうしたジェームズ。不満そうだな」
「当然でしょう」
全て知っているだろうに、とジェームズはため息をついた。そして手に持っていた書類をロイに差し出した。
「二年前の事件の報告はしましたよね。あの娘は諸刃の剣ですよ」
ジェームズから書類を受け取ったロイは書類に目を通した。
そこには二年前、小春が秋穂の策略によって封印されていた悪鬼を解き放ってしまったこと、そしてその悪鬼から隠すために部屋に閉じ込められて育ったことが記されていた。
「小春様の実力は確かでしょう。けれど今の彼女は悪鬼に狙われる厄介者でしかありません。そんな彼女を我が屋敷に引き入れるメリットがありますか?」
ロイは不敵に笑ってみせた。
「メリットしか感じないな。そもそも悪鬼ごとき俺が退治できないとでも思っているのか?」
ロイも本国イギリスではそれなりの実力者だった。妖精と人間の仲介役、そして時には悪魔退治や吸血鬼討伐までしていた。その実力を認められたからこそ若くして伯爵の地位にまでのぼり詰めた。
その自信からロイは自分が悪鬼に負けるはずがないと思っていた。
それにはジェームズも反論できなかった。
「……ですが結婚までされなくても良かったのではないですか?」
確かに、とロイは思った。いつもならこんな回りくどい事などしない。手段など選ばず力でねじ伏せて、目的を達成する。それが「悪魔」と恐れられるアスター伯爵のやり方だ。
なのに何故か小春を一目見た時から気掛かりで仕方ないのだ。気になって、ついそばに置くために結婚するとまで行ってしまった。もしそばに置いて気のせいだと分かれば、離婚すれば良いと思ったのだ。
今はただ、小春を近くにおきたい。
それしか頭になかった。
「気まぐれだ。それにそちらの方が動きやすいし、結婚披露宴とかで作戦がたてやすいだろう」
「確かにそれもありますが」
もっともらしい言い分だったが、ジェームズは腑に落ちなかった。
「あの娘がロイ様の『運命の血』なのではありませんか?」
「ははっ。ありえないな」
ロイは鼻で笑った。
『運命の血』とは、吸血鬼にとって唯一無二の存在のことである。人間の血を糧とする吸血鬼にとって、自らの力を最大限に引き出してくれる人間がいるというのだ。『運命の血』を手に入れた吸血鬼は世界をも手に入れられると言われるほど強い力を持つ。しかし、そうそう会えるはずもなく、歴史的にも『運命の血』と出会えた吸血鬼は片手で数えられるほどしかいないと言われている。
しかも詳しい文献も残っておらず、今となっては何の根拠もない噂話になっていた。
「運命の血など御伽話にすぎん」
当然ロイも信じていなかった。
ロイは自分の手に視線を落とした。
ロイの血にも、半分だけ吸血鬼の血が流れている。代々吸血鬼討伐・バンパイヤハンターの家系のアスター伯爵。ロイの父親もバンパイヤハンターだった。しかしロイの父親は吸血鬼と人間の共存を望み、妻に吸血鬼を迎えた。そうして生まれたのが、ロイだった。
様々な苦労はあったものの、ようやく伯爵の地位まで登りつめたのだ。
異国の地での任務を失敗するわけにはいかない。
拳を握りしめ、ロイはゆっくり前を向いた。


