突如、甲冑がこすれる音が鳴り響く。寺院近辺に潜伏していたと思われる兵士たちがいっせいに駆けてくる。寺院本堂を取り囲むように、数百の伏兵が槍の先を向けた。
義彦は言葉を失い、窓の外に居並ぶ兵士を見やる。――これが東雲国の兵士だと気づいた時に、一人の騎馬武者が馬から降りて、本堂に続く石段を登ってくるのが見えた。その足取りには寸分の迷いもない。本堂の縁へ足をかけた時、言い知らぬ殺気を感じて、義彦は後ずさった。
薄暗い本堂に射し込む光と共に現れた武者。面頬で顔は目元しか見えなかったが、有無を言わさぬ殺意の色が浮かんでいる。まるで世界がこの男に掌握されてしまったように。
男は兜の下の面頬を、ゆっくり外した。
「私は東雲国の軍師、氷室忠頼だ。高津国当主、玉響義実が嫡男、玉響義彦とお見受けする。そなたの残党の一味は寺院の地下倉庫で全員捕縛した。大人しく投降せよ」
氷室は、凍てつく視線を向ける――目が合った瞬間、義彦の背筋は凍る。強行手段として待機させていた残党たちはすでに縄にかけられていた。義彦の背後には、短剣を震えながら向ける妹がいる。
「もはやこれまでか……!! 」
義彦は太刀を腰から抜いた。
「尋常に勝負……!!」
氷室もすかさず太刀を抜く。二人の刃が甲高い音を鳴らして打ち合わさった。氷室に刃を押し返され、義彦は柱に身体を打ちつける。東雲国の兵士が二人の間に入り、槍先をいっせいに義彦に向けた。
義彦は言葉を失い、窓の外に居並ぶ兵士を見やる。――これが東雲国の兵士だと気づいた時に、一人の騎馬武者が馬から降りて、本堂に続く石段を登ってくるのが見えた。その足取りには寸分の迷いもない。本堂の縁へ足をかけた時、言い知らぬ殺気を感じて、義彦は後ずさった。
薄暗い本堂に射し込む光と共に現れた武者。面頬で顔は目元しか見えなかったが、有無を言わさぬ殺意の色が浮かんでいる。まるで世界がこの男に掌握されてしまったように。
男は兜の下の面頬を、ゆっくり外した。
「私は東雲国の軍師、氷室忠頼だ。高津国当主、玉響義実が嫡男、玉響義彦とお見受けする。そなたの残党の一味は寺院の地下倉庫で全員捕縛した。大人しく投降せよ」
氷室は、凍てつく視線を向ける――目が合った瞬間、義彦の背筋は凍る。強行手段として待機させていた残党たちはすでに縄にかけられていた。義彦の背後には、短剣を震えながら向ける妹がいる。
「もはやこれまでか……!! 」
義彦は太刀を腰から抜いた。
「尋常に勝負……!!」
氷室もすかさず太刀を抜く。二人の刃が甲高い音を鳴らして打ち合わさった。氷室に刃を押し返され、義彦は柱に身体を打ちつける。東雲国の兵士が二人の間に入り、槍先をいっせいに義彦に向けた。
