「……なんと! 奇妙な呪いじゃ!」
唯一もらったセリフを、渉は何度も繰り返し叫んでいる。学校であれば止めただろうが、この田舎の道では誰に会うこともない。好きなだけ叫んで頂きたい。
次の「なんと!」を言ったあとに、渉がくるりとこちらを振り返った。
「今の言い方さ、もっと変えた方がいいかな」
「どっちでもいいと思うけど」
「いや、『なんと!』で驚いて、『奇妙な呪いじゃ!』で恐れるような言い回しだと思うんだよね。この村人、47歳の靴屋って設定でさぁ」
モブの村人だというのに、えらく裏設定が定められている。神は細部に宿るというので、こだわって悪いことではないと思うが。
歩を進めながら、空を見上げる。ペンギンは飛んでいなかったが、緑の雲がゆっくりと空を渡っていた。足元ではぐううっと呻いた声が重なって聞こえている。ここらのタンポポは呻くのだろう。物心ついた頃から花が笑ったり泣いたりしていたので、今さら驚くことはなかった。とは言え、このあたりはいつも以上に不思議なことが起きているように思う。やはり自然が多いからだろうか。
「奇妙な呪いじゃああ!!!」
渉が突然、ペンギンの翼を広げてこちらに襲い掛かってきた。肩を叩こうとするので、咄嗟に後ずさって逃れる。
「おい、村人が襲ってくるのはおかしいだろ」
「これはIFルートってやつだね」
「やめろっ、羽で叩くな!」
好戦的な村人は俺を追い回して、平べったい翼で何度も俺をはたいた。あまり痛くはないが、悔しい。落ちていた枝を拾って日本刀のように構えてみると、今度は渉の右腕が太い枝に変わった。がつがつとチャンバラのようにぶつけあいながら、時折走って進んで、小学生のようにじゃれあってしまった。
急な手合わせがひと段落した頃、どこからかひやりとした風が吹き付けた。肩で息をしながら「涼しい」というと「オレがペンギンだからかも」と、訳の分からない返答をされた。
唯一もらったセリフを、渉は何度も繰り返し叫んでいる。学校であれば止めただろうが、この田舎の道では誰に会うこともない。好きなだけ叫んで頂きたい。
次の「なんと!」を言ったあとに、渉がくるりとこちらを振り返った。
「今の言い方さ、もっと変えた方がいいかな」
「どっちでもいいと思うけど」
「いや、『なんと!』で驚いて、『奇妙な呪いじゃ!』で恐れるような言い回しだと思うんだよね。この村人、47歳の靴屋って設定でさぁ」
モブの村人だというのに、えらく裏設定が定められている。神は細部に宿るというので、こだわって悪いことではないと思うが。
歩を進めながら、空を見上げる。ペンギンは飛んでいなかったが、緑の雲がゆっくりと空を渡っていた。足元ではぐううっと呻いた声が重なって聞こえている。ここらのタンポポは呻くのだろう。物心ついた頃から花が笑ったり泣いたりしていたので、今さら驚くことはなかった。とは言え、このあたりはいつも以上に不思議なことが起きているように思う。やはり自然が多いからだろうか。
「奇妙な呪いじゃああ!!!」
渉が突然、ペンギンの翼を広げてこちらに襲い掛かってきた。肩を叩こうとするので、咄嗟に後ずさって逃れる。
「おい、村人が襲ってくるのはおかしいだろ」
「これはIFルートってやつだね」
「やめろっ、羽で叩くな!」
好戦的な村人は俺を追い回して、平べったい翼で何度も俺をはたいた。あまり痛くはないが、悔しい。落ちていた枝を拾って日本刀のように構えてみると、今度は渉の右腕が太い枝に変わった。がつがつとチャンバラのようにぶつけあいながら、時折走って進んで、小学生のようにじゃれあってしまった。
急な手合わせがひと段落した頃、どこからかひやりとした風が吹き付けた。肩で息をしながら「涼しい」というと「オレがペンギンだからかも」と、訳の分からない返答をされた。
