土曜日の朝、迅から電話があった。
「悠、起きてるか」
「起きてない」
「起きろ」
「なんで」
「透の家、行こう」
俺は布団の中でその言葉を口の中で繰り返した。透の家。
「鍵、ないだろ」
「ある」
「は?」
「ある。説明はあとで。十時に俺んちの前」
それで電話は切れた。九時半に家を出た。迅の家の前に着くと、もう迅が立っていた。Tシャツにデニムのジャケットを羽織って、髪が少し濡れていた。シャワーを浴びてきたばかりらしかった。
「早いな」
「お前が呼んだんだろ」
「だから早いって。十時って言ったぞ」
「九時五十分だ」
「知ってる」
迅は笑って、自分の自転車を出した。
「鍵、どうしたんだ」
「うちの母親が持ってた」
迅は鞄から銀色の鍵を出した。
「うちの母親と透の母親が、知り合いだった。同じ高校だったらしい。透の母親が町を出るときに、家の管理をうちの母親に頼んでいったって。鍵を預かったまま、ずっと放置してたらしい」
「お前、それいつ知ったんだ」
「昨日。家系のこと、母親に聞いてみた。祖父さんがどうとか、戦争の話とか。そしたら、そういえば、っていう感じで出てきた」
迅はペダルを踏み始めた。
「行こう」
「悠、起きてるか」
「起きてない」
「起きろ」
「なんで」
「透の家、行こう」
俺は布団の中でその言葉を口の中で繰り返した。透の家。
「鍵、ないだろ」
「ある」
「は?」
「ある。説明はあとで。十時に俺んちの前」
それで電話は切れた。九時半に家を出た。迅の家の前に着くと、もう迅が立っていた。Tシャツにデニムのジャケットを羽織って、髪が少し濡れていた。シャワーを浴びてきたばかりらしかった。
「早いな」
「お前が呼んだんだろ」
「だから早いって。十時って言ったぞ」
「九時五十分だ」
「知ってる」
迅は笑って、自分の自転車を出した。
「鍵、どうしたんだ」
「うちの母親が持ってた」
迅は鞄から銀色の鍵を出した。
「うちの母親と透の母親が、知り合いだった。同じ高校だったらしい。透の母親が町を出るときに、家の管理をうちの母親に頼んでいったって。鍵を預かったまま、ずっと放置してたらしい」
「お前、それいつ知ったんだ」
「昨日。家系のこと、母親に聞いてみた。祖父さんがどうとか、戦争の話とか。そしたら、そういえば、っていう感じで出てきた」
迅はペダルを踏み始めた。
「行こう」

