海から、お迎えにあがりました


控え室に戻ると、迅が自販機の前でペットボトルを選んでいた。

「悠、何にする?」
「水でいい」
「水ね」

迅は自分のお茶と俺の水を買って戻ってきた。並んで椅子に座って飲んだ。

「お前、寝なかったろ」
「うん」
「途中で目、開けたか」
「うん」
「天井、見たろ」

俺は迅を見た。

「お前も?」
「俺は寝ようとしたら、上から何か落ちてきた。冷たくて、塩辛かった」
「水か」
「水。海の水」
「天井、濡れてたか」
「終わったら、もう乾いてた」
「俺も」

俺たちは少し黙っていた。迅がペットボトルのお茶を半分くらい一気に飲んで、膝の上に置いた。膝の上のペットボトルに結露がついて、迅のジーンズに薄い染みが広がっていた。

「朔本さん、観察室で何か慌ててたぞ」

迅が言った。

「俺も聞いた。データ止めるな、って」
「あの人、今日の俺たちの計測中に何かが起こることを、知ってたな。知ってて、待ってた」

俺は頷いた。