ここ最近の横須賀は、雨雲に覆われているらしい。梅雨に戻ったような連日の雨に、訓練内容は変更を余儀なくされている。
異能部隊の執務室には、唄子の筋トレを支える照昌のカウントがテンポよく響いていた。
中国で起こった盧溝橋での衝突は、11日に無事休戦協定が締結されたらしい。だが、両国軍の間の緊張はかつてないほど張り詰めている。長澤や瑞樹は、今日も軍議だ。
そんな国際情勢の縮図かのように、長澤と唄子の対立も休戦という名の冷戦状態。一切会話のない彼らの間を、天珠と照昌が取り持っていた。
ふう…と、書類仕事を片付けていた天珠はため息と共に肩を回す。私生活にも影響を及ぼす隊内不和に、胃が痛い。
何か突破口はないだろうか。そう頭を悩ませながら、彼は腹筋に精を出す唄子の姿を眺めていた。
そこへカツカツ、と聞こえてくる靴音。上官2人が戻ってきたのだろう。そんな暢気な考えを覆し、「突破口」は実に不本意な形で姿を現した。
「堂児天珠大尉はいるか!!」
大きな音を立てて扉が開き、銃声のような声が執務室を貫く。入ってきたのは、背広姿の男性複数人だ。
室内にいた3人は全員、呆気にとられて動けなかった。
「あ……失礼しました。自分が、堂児ですが……」
最初に我に返ったのは天珠だ。呼びかけに答えるように、彼らの前に歩み出る。背の高い自負がある天珠だが、目の前の男性の威圧感は目に見える背丈以上の迫力があった。
それもそのはずだ。先頭にいる男性が突きつけた一枚の紙きれに書かれているのは、逮捕状の三文字。
「堂児天珠大尉、国家に対する危険思想保持の容疑、および越権行為による軍事行動の疑いがかかっている。同行を願う」
「……」
しん……と静まり返る執務室。言われた言葉を脳みそが理解した瞬間、天珠だけではなく照昌も唄子も、サァと血の気が引いた。
「……え?」
「は!?なんでや!!」
「嘘……!?」
3人の声が重なる。中でも天珠は、頭が真っ白になっていた。
「ちょ…ちょっと、待ってください……。自分は、そんな…!」
声が震える。まともな言葉さえ浮かばない。ぐらぐらと足元が揺れる感覚に、目が回った。
「詳しい話は署で聞かせてもらいます。」
だが、相手は端からこちらの主張を聞く気はない。後ろに控えていた数人が彼を取り囲み、腕をひねり上げてきた。
「っ、」
肩にかかる痛みと周囲の冷たい視線で、天珠は過去の激痛の中に突き落とされた。
脳裏にフラッシュバックする複数の景色。暗い倉庫、夜の兵舎の廊下、大雨の中の訓練場。そのどれも、天珠はこうして囲まれていた。服を奪われ、白髪を罵られ、海軍精神注入棒で体を打たれ続けた。反抗する権利など、「鬼の子」にある訳がない。
歩けと、背後の男性に体をどつかれる。たったそれだけで、彼の足はもつれた。
見たことのない天珠の姿。それに我慢ならなかったのは、照昌だった。
「ちょお待ちぃ!どっからそないなガセネタ掴んどんねん!」
天珠を掴む背広の男へ、背後から突撃。そうして彼らの中に割って入り、逮捕状をかざす男をにらみ返した。
「絶対になにかの間違いです!!堂児大尉を離してください!」
唄子もまた、先輩を追って渦中に飛び込んでいく。こちらは天珠の背後に陣取り、彼が拘束されるのを防ぐように両手を広げた。
自分たちを囲んでいる男たちは、特高だ。死のう団事件の時に学んだ、別名拷問警察。そのことに、照昌と唄子は気づいていた。
「い、ぃ……安倍、……小野……止め、ろ……」
もちろん、相手を理解しているのは天珠だって同じだ。浅い呼吸の中、喘ぐように彼は後輩たちを制止する。
(言い返しちゃマズイ…!)
白く塗りつぶされた思考の中を警鐘だけが駆け回った。
(どこで言質とられるか、わかったもんじゃない……!!)
だが、彼の焦りに反比例するように事態は悪化の一途を辿る。
「堂児大尉はちと黙っとって!」
そう叫んだ照昌へ、特高のリーダー格の冷たい声が降りかかる。
「なるほど。上官の逮捕に対して集団で抵抗ですか。これは……部隊ぐるみという理解で、よろしいですね?」
「あぁん??」
「意味が分かりません!!」
それに怯みもせず、果敢に、だが無謀にも反発を続けてしまう2人。その姿に、天珠の脳は余計にパニックの沼に沈む、沈む。
(俺のせいで、このままじゃ、安倍と小野まで…!!)
せめて彼らは守らなければ。今この場で、上官は自分なのだから。責められているのは自分なのだから。2人は関係ないから、連れていくなら自分を連れて行けばいい。痛いのは慣れている。拷問の模擬演習くらい、いくらでも受けた。
そう頭の中は叫ぶのに、声どころか呼吸にすらならない。もうすでに、前後で照昌と唄子がどう抵抗しているのかさえよくわからない。
(助けて、隊長……!!)
かつて天珠を救い上げてくれた大きな背中。その姿に思わず縋った時、地の底から響くような豪快な低音が執務室を貫いた。
「ほーーーーーーーん??」
「っ…!」
漆黒の背広の肩に、無骨な手がのしかかる。全員の視線の先にいたのはもちろん、真っ白な海軍制服に身を包んだひげ面の軍人。傲慢不遜を絵に描いたような笑みを浮かべて、彼は口を開いた。
「俺の部下がなんだってぇ…??」
天珠へのいじめを止めたあの日のように、濡れ衣を着せられた唄子を救ったあのカフェーでのように、堂々たる立ち姿を雨上がりに差し込んだ陽光が照らしていた。
特高から逮捕状を引っ手繰る。その内容を一読すると、長澤は嘲笑するように鼻で笑った。
「ほー、面白い!堂児大尉、中佐である俺の命令もなくなんか動いたのか?」
その言葉に、顔面蒼白のまま天珠は必死に首を振る。それを受け、長澤は満足げに頷いた。
「だそうだ。上官の命に背いてないのだから、これをやらかしてるとしたら俺だろうな!連れてくなら、俺を連れてけ!!」
「……え?」
小さな小さな、天珠の戸惑いの声。それが妙に大きく聞こえるほど、長澤の暴論に部下だけでなく特高までも耳を疑った。
「……失礼。容疑がかかってるのは、あの青年…」
「弱いもの虐めでいたぶろうってか?上官通さねぇで何が逮捕だ。あ?」
「っ、」
相手の反論さえ遮って、長澤の攻撃が断行される。怒りに燃える瞳に射貫かれ、背広の集団は一歩後ずさった。
「直接話してやるつってんだろうがよぉ、テメェらの庭で!」
「……」
ビリビリと響く大砲。爆撃のようなその主張に、特高の口元がわずかに上がったのを、若手3人は見てしまった。
「……連れて行け」
静かな一言。たったそれだけで、天珠を囲んでいた背広の男たちがあっという間に長澤を包囲し、手錠をかけるではないか。まるで、端から狙いは彼だったとでも言うかのように。
「ッ……!!」
「長澤はん!?」
「そんな…!!」
もちろん、納得がいかない。再び動こうとする照昌と唄子へ、異能部隊の隊長はいつもと同じ調子で告げた。
「お前らは待機!上官命令だ!!」
笑顔と共に発された指令。そんな手に出られたら、彼らは従わざるをえなかった。
背広の集団が長澤を連れていく。徐々に小さくなっていくその背中を、ただ黙って見ているしかできないだなんて。
辛うじて、照昌は追跡のために式神を飛ばす。その飛行機が霊感のない特高の肩に着陸したのを見届けて、なんとか詰めていた息を彼は吐き出した。
静寂が執務室を包む。嵐が過ぎ去った時、天珠の膝は限界を迎え、ガクンと地面へ崩れ落ちた。
「堂児はん……!」
「堂児さん!!」
身を守るように蹲る。後輩たちはそんな彼を支え、背中をさするが、声すら届いている気配がない。
「お、俺の……せい、で……隊、長……が……!」
片目だけ色が反転し、全身が痙攣している。おかしな呼吸のまま呟く言葉の通り、自身を罰するように伸びる爪が彼の軍服を裂きそうだ。
そんな彼の頬を照昌は両手で包む。苛立ちを隠そうともせず、彼は声を荒げた。
「どう考えても堂児はんのせいとちゃうやんけ!!あの人勝手に自分から捕まりおった!!」
「ひゅッ……!」
「あの、照昌さん……!それ今言っちゃ逆効果です……!!」
「あぁんもう!!堂児はんしっかりしてぇなぁ!!」
過呼吸の悪化した天珠の傍ら、唄子の指摘に頭を掻く照昌。もう、大混乱だ。
「申し訳ありません、遅れました……!」
そこに現れたのは、まさにもう1人の救世主。
「事態はだいたい察しましたが……いったい何があったんですか。」
銀縁の眼鏡をくいと上げ、瑞樹はため息交じりにそう尋ねた。
そんな彼へ、ワッと勢いよく報告を始める3人。
「あの、急に、警察の方が堂児さんを逮捕って、それで、」
「絶対アイツらなんかでっち上げる気ぃやで!!危険思想だの越権行為だの言いがかかりを」
「た、隊長が……!俺……俺なんか、を、庇って……!!」
それは残念ながら、不協和音の大合唱となり果てた。
「報告は一人ずつ!!」
頭を抱えた瑞樹の悲鳴じみた突っ込みが、まるで普段と変わらない日常かのように異能部隊の執務室に響き渡った。
なお、この直後に現れた海軍の少将により、異能部隊は活動停止と謹慎を言い渡されてしまうのだった。
異能部隊の執務室には、唄子の筋トレを支える照昌のカウントがテンポよく響いていた。
中国で起こった盧溝橋での衝突は、11日に無事休戦協定が締結されたらしい。だが、両国軍の間の緊張はかつてないほど張り詰めている。長澤や瑞樹は、今日も軍議だ。
そんな国際情勢の縮図かのように、長澤と唄子の対立も休戦という名の冷戦状態。一切会話のない彼らの間を、天珠と照昌が取り持っていた。
ふう…と、書類仕事を片付けていた天珠はため息と共に肩を回す。私生活にも影響を及ぼす隊内不和に、胃が痛い。
何か突破口はないだろうか。そう頭を悩ませながら、彼は腹筋に精を出す唄子の姿を眺めていた。
そこへカツカツ、と聞こえてくる靴音。上官2人が戻ってきたのだろう。そんな暢気な考えを覆し、「突破口」は実に不本意な形で姿を現した。
「堂児天珠大尉はいるか!!」
大きな音を立てて扉が開き、銃声のような声が執務室を貫く。入ってきたのは、背広姿の男性複数人だ。
室内にいた3人は全員、呆気にとられて動けなかった。
「あ……失礼しました。自分が、堂児ですが……」
最初に我に返ったのは天珠だ。呼びかけに答えるように、彼らの前に歩み出る。背の高い自負がある天珠だが、目の前の男性の威圧感は目に見える背丈以上の迫力があった。
それもそのはずだ。先頭にいる男性が突きつけた一枚の紙きれに書かれているのは、逮捕状の三文字。
「堂児天珠大尉、国家に対する危険思想保持の容疑、および越権行為による軍事行動の疑いがかかっている。同行を願う」
「……」
しん……と静まり返る執務室。言われた言葉を脳みそが理解した瞬間、天珠だけではなく照昌も唄子も、サァと血の気が引いた。
「……え?」
「は!?なんでや!!」
「嘘……!?」
3人の声が重なる。中でも天珠は、頭が真っ白になっていた。
「ちょ…ちょっと、待ってください……。自分は、そんな…!」
声が震える。まともな言葉さえ浮かばない。ぐらぐらと足元が揺れる感覚に、目が回った。
「詳しい話は署で聞かせてもらいます。」
だが、相手は端からこちらの主張を聞く気はない。後ろに控えていた数人が彼を取り囲み、腕をひねり上げてきた。
「っ、」
肩にかかる痛みと周囲の冷たい視線で、天珠は過去の激痛の中に突き落とされた。
脳裏にフラッシュバックする複数の景色。暗い倉庫、夜の兵舎の廊下、大雨の中の訓練場。そのどれも、天珠はこうして囲まれていた。服を奪われ、白髪を罵られ、海軍精神注入棒で体を打たれ続けた。反抗する権利など、「鬼の子」にある訳がない。
歩けと、背後の男性に体をどつかれる。たったそれだけで、彼の足はもつれた。
見たことのない天珠の姿。それに我慢ならなかったのは、照昌だった。
「ちょお待ちぃ!どっからそないなガセネタ掴んどんねん!」
天珠を掴む背広の男へ、背後から突撃。そうして彼らの中に割って入り、逮捕状をかざす男をにらみ返した。
「絶対になにかの間違いです!!堂児大尉を離してください!」
唄子もまた、先輩を追って渦中に飛び込んでいく。こちらは天珠の背後に陣取り、彼が拘束されるのを防ぐように両手を広げた。
自分たちを囲んでいる男たちは、特高だ。死のう団事件の時に学んだ、別名拷問警察。そのことに、照昌と唄子は気づいていた。
「い、ぃ……安倍、……小野……止め、ろ……」
もちろん、相手を理解しているのは天珠だって同じだ。浅い呼吸の中、喘ぐように彼は後輩たちを制止する。
(言い返しちゃマズイ…!)
白く塗りつぶされた思考の中を警鐘だけが駆け回った。
(どこで言質とられるか、わかったもんじゃない……!!)
だが、彼の焦りに反比例するように事態は悪化の一途を辿る。
「堂児大尉はちと黙っとって!」
そう叫んだ照昌へ、特高のリーダー格の冷たい声が降りかかる。
「なるほど。上官の逮捕に対して集団で抵抗ですか。これは……部隊ぐるみという理解で、よろしいですね?」
「あぁん??」
「意味が分かりません!!」
それに怯みもせず、果敢に、だが無謀にも反発を続けてしまう2人。その姿に、天珠の脳は余計にパニックの沼に沈む、沈む。
(俺のせいで、このままじゃ、安倍と小野まで…!!)
せめて彼らは守らなければ。今この場で、上官は自分なのだから。責められているのは自分なのだから。2人は関係ないから、連れていくなら自分を連れて行けばいい。痛いのは慣れている。拷問の模擬演習くらい、いくらでも受けた。
そう頭の中は叫ぶのに、声どころか呼吸にすらならない。もうすでに、前後で照昌と唄子がどう抵抗しているのかさえよくわからない。
(助けて、隊長……!!)
かつて天珠を救い上げてくれた大きな背中。その姿に思わず縋った時、地の底から響くような豪快な低音が執務室を貫いた。
「ほーーーーーーーん??」
「っ…!」
漆黒の背広の肩に、無骨な手がのしかかる。全員の視線の先にいたのはもちろん、真っ白な海軍制服に身を包んだひげ面の軍人。傲慢不遜を絵に描いたような笑みを浮かべて、彼は口を開いた。
「俺の部下がなんだってぇ…??」
天珠へのいじめを止めたあの日のように、濡れ衣を着せられた唄子を救ったあのカフェーでのように、堂々たる立ち姿を雨上がりに差し込んだ陽光が照らしていた。
特高から逮捕状を引っ手繰る。その内容を一読すると、長澤は嘲笑するように鼻で笑った。
「ほー、面白い!堂児大尉、中佐である俺の命令もなくなんか動いたのか?」
その言葉に、顔面蒼白のまま天珠は必死に首を振る。それを受け、長澤は満足げに頷いた。
「だそうだ。上官の命に背いてないのだから、これをやらかしてるとしたら俺だろうな!連れてくなら、俺を連れてけ!!」
「……え?」
小さな小さな、天珠の戸惑いの声。それが妙に大きく聞こえるほど、長澤の暴論に部下だけでなく特高までも耳を疑った。
「……失礼。容疑がかかってるのは、あの青年…」
「弱いもの虐めでいたぶろうってか?上官通さねぇで何が逮捕だ。あ?」
「っ、」
相手の反論さえ遮って、長澤の攻撃が断行される。怒りに燃える瞳に射貫かれ、背広の集団は一歩後ずさった。
「直接話してやるつってんだろうがよぉ、テメェらの庭で!」
「……」
ビリビリと響く大砲。爆撃のようなその主張に、特高の口元がわずかに上がったのを、若手3人は見てしまった。
「……連れて行け」
静かな一言。たったそれだけで、天珠を囲んでいた背広の男たちがあっという間に長澤を包囲し、手錠をかけるではないか。まるで、端から狙いは彼だったとでも言うかのように。
「ッ……!!」
「長澤はん!?」
「そんな…!!」
もちろん、納得がいかない。再び動こうとする照昌と唄子へ、異能部隊の隊長はいつもと同じ調子で告げた。
「お前らは待機!上官命令だ!!」
笑顔と共に発された指令。そんな手に出られたら、彼らは従わざるをえなかった。
背広の集団が長澤を連れていく。徐々に小さくなっていくその背中を、ただ黙って見ているしかできないだなんて。
辛うじて、照昌は追跡のために式神を飛ばす。その飛行機が霊感のない特高の肩に着陸したのを見届けて、なんとか詰めていた息を彼は吐き出した。
静寂が執務室を包む。嵐が過ぎ去った時、天珠の膝は限界を迎え、ガクンと地面へ崩れ落ちた。
「堂児はん……!」
「堂児さん!!」
身を守るように蹲る。後輩たちはそんな彼を支え、背中をさするが、声すら届いている気配がない。
「お、俺の……せい、で……隊、長……が……!」
片目だけ色が反転し、全身が痙攣している。おかしな呼吸のまま呟く言葉の通り、自身を罰するように伸びる爪が彼の軍服を裂きそうだ。
そんな彼の頬を照昌は両手で包む。苛立ちを隠そうともせず、彼は声を荒げた。
「どう考えても堂児はんのせいとちゃうやんけ!!あの人勝手に自分から捕まりおった!!」
「ひゅッ……!」
「あの、照昌さん……!それ今言っちゃ逆効果です……!!」
「あぁんもう!!堂児はんしっかりしてぇなぁ!!」
過呼吸の悪化した天珠の傍ら、唄子の指摘に頭を掻く照昌。もう、大混乱だ。
「申し訳ありません、遅れました……!」
そこに現れたのは、まさにもう1人の救世主。
「事態はだいたい察しましたが……いったい何があったんですか。」
銀縁の眼鏡をくいと上げ、瑞樹はため息交じりにそう尋ねた。
そんな彼へ、ワッと勢いよく報告を始める3人。
「あの、急に、警察の方が堂児さんを逮捕って、それで、」
「絶対アイツらなんかでっち上げる気ぃやで!!危険思想だの越権行為だの言いがかかりを」
「た、隊長が……!俺……俺なんか、を、庇って……!!」
それは残念ながら、不協和音の大合唱となり果てた。
「報告は一人ずつ!!」
頭を抱えた瑞樹の悲鳴じみた突っ込みが、まるで普段と変わらない日常かのように異能部隊の執務室に響き渡った。
なお、この直後に現れた海軍の少将により、異能部隊は活動停止と謹慎を言い渡されてしまうのだった。


