早く散れ、桜。

「私ね、やりたいことが無いの」



…僕だってそうだ。



「だから別に、もう死んじゃっても未練なんて無くて」



うん、僕も同じだよ。



「…でも、一つ。一つだけ、死にたくない理由があってね」



だろうね。ほら、君のことだからきっと──





「春があるから。こんなちっぽけな理由で生きていられるんだから、私はきっと幸せだよ」





…そう来たか。てっきり、美味しいものが食べられるからとか、そんな理由だと思ってた。


春が嫌いな僕には、少し難しい話だな。




「…ねぇ、聞いてる?ほんとに君は相槌打つのが下手くそだなぁ」



うるさいな、これが通常運転なんだ。悪かったな。



「………もう、ほんと…いつになったら、返事してくれるのかな…。…なーんて、はは、恋する乙女みたいなこと言っちゃったりして!」



…さすがの僕でも引くぞ。まぁ、君はきっと気にせず笑い飛ばすんだろうけど。



「ところでさぁ、」



ん?



「……もう8年だよ?…8年待ってるの。こんな幼気な女の子待たせるなんて、サイテーだからね!」



あぁ…はは、8年か。それは僕が悪いなぁ。ごめんごめん。



「でも、流石にもう疲れちゃった。…ねぇ、いい加減にしてよ。君はいつになったら…」








「目を覚ますの?」