あれからまた二ヶ月後、僕たちは例の活動を続けていた。が、ネタもある程度尽き、停滞した頃にSNSで若干(と言ってもごく一部で)話題になり、それで終わった。
僕たちもその様子を数日間、お互い異様な盛り上がりで観測していたがそれで満足し、一旦休止となった。
ちなみにお兄さんのブログは樋角さんにバレて、しっかり怒られた末に削除していた。凝ってた割に最終的に21viewだったらしい。流行りの物にのっかるならそれなりにオリジナリティーを求められるようだ。
現在、お兄さんとの交流は、かなり減ってしまったが寂しさはあまり感じていない。
僕は進級し、ユキのための花瓶はどこかへと消えた。ユキの机を誰かに使われるのが僕は我慢ならなかったため、ある日の放課後に彫刻刀で机に『ユキ参上』と彫った所、クラスどころか、学校中の大事件となり、意図せずユキの存在がこの学校へと深く刻まれる事態となった。そして机の行方は知らない。
お兄さんにそのことを伝えると、爆笑した後に正気に返りドン引きされてしまった。別にいい。
僕がこんな悪事を働くのは今生でこれきりだ。これからの人生、人一倍善人として生きます。
お兄さんからは疑われなかったのかと聞かれたが、当然疑われていない。
それは僕の日頃の生活態度が良いから、だけではなく、僕とユキには一切の接点もなかったからだ。
そう、僕とユキは友達ではない。クラスメイトというだけで、話したのは一度きりだった。
たまたま何かの授業でペアになった際、僕がしていたソシャゲとユキのソシャゲが被っていたためフレンド交換をした、それが僕たちの始まりで終わりだった。
僕は熱心にしていたゲームだったが、ユキはそこまでやりこんでいなかったらしい。ほとんどログインしていなかったし、僕がフレンドになった事もすぐに忘れていたようだ。
ゲームアカウントと連携されていたSNSアカウントが、例の「遺書」だった。
僕がフォローした時はオープンアカウントでほとんど動いてなかった、僕がこまめにいいねをすると次第にユキが日記のような使い方をしだしたのが、僕たちの本当の始まりだった。
こんなに君のことを知っているのに、君は僕のことを何も知らない。
もし現実でも友達になれていたら、違った未来だったのかな。君が猫を見に行こうとしていたら、危ないからやめろと止められたのか。落ちる寸前に危ないと腕を掴めたのか。すぐに助けを呼べたのか……。
全部妄想だ。
君は死んで、僕は生きている。悲しい事に。
僕は全ての寂しいユキを迎えに行くことにした。
スマホのメモアプリを開き、ユキの怪談フォルダを開く。
スマホで寝ているユキを撮ったのは僕でした。
ユキユキダンスをしてユキと永遠に踊りました。
フィルターユキで僕はカメラに映る姿だけ永遠にユキになりました。
ユキ駅に僕が迎えにいって、
ナビの言われるままユキに会いにいって、
ユキチャンネルで部屋に来たユキを永遠に閉じ込めて、
ユキが映ったテレビは録画してダビングして、
全部のユキに僕を迎えに行かせてユキを永遠に僕だけのユキにした。
このままサイトにあげていた話も全て上書きで更新する。
ユキに関する怪談を見つけたら、全部最後に僕を付け加えてください。世界一可愛くて、面白くて、悪趣味なユキを永遠に僕だけのものにしてください。僕をユキに捧げさせてください。
ユキ。ユキ、好きだ。君は永遠に僕の憧れだ。
さよなら、ユキ。
愛してる。
君に一度も話しかける事ができなかった僕からの気持ち悪いラブレターはもう、破って捨てよう。
ユキ、さよならユキ。
君が好きだと言う気持ちもこのまま永遠にしよう。
さよならユキ。愛してる。
完
