未来視少女と守護鬼

【7話から数日経過】
 ●別邸・トレーニングルーム(朝)
 近くの壁に木刀が立てかけてある。
 結衣、縄跳びをしている。
 結衣(体力もだいぶついて、長時間未来視使えるようになってきたし、そろそろ本格的に戦闘面の訓練をしてもいい頃合いかな)
 縄跳びをやめて、立てかけてある木刀を手にする。
 結衣「よしっ」
 木刀を肩に担ぐ。
 結衣(全ては彩人を自由にするために——!)
 手をぐっと握り締める。

 ●別邸・キッチン
 彩人「稽古をつけてほしい?」
 彩人、皿を拭いていた手を止めて結衣を見る。
 結衣「そ! 自分の身は自分で守れるようになりたいんだ」
 彩人「んなもん必要ねぇだろ。俺がいるんだから」
 彩人、皿を水切りラックに入れる。
 結衣「で、でもでもっ、いつだって彩人が近くにいるとは限らないじゃん。一人のときに対処出来ないのは困るし。それに、この間みたいなことも今後あるかもしれないし」
 結衣、木刀を両手で持ったまま左右に身体をくねらせる。
 7話の結衣が大蛇に襲われかけたシーンを入れる。

 彩人「うっ……」(言葉を詰まらせる。痛いところをつかれてしまったという心情が伝わるように)
 彩人「……はぁ。分かったよ、つけてやるよ」(諦めたように息をつく)
 結衣「ほんと!? ありがとう!」(笑顔)
 彩人「ただし」
 彩人、結衣から木刀を奪い取る(強引にではなく、自然な感じで)
 彩人「稽古内容は俺が決める」
 木刀を肩に担ぐ。


 ●別邸・庭
 結衣の手にピコピコハンマー。
 結衣「何これ」(じとっとした目でしげしげと見つめる)
 彩人「木刀の代わり」
 彩人の手にもピコピコハンマー。手に叩いてピコピコと鳴らしている。
 結衣「えー……。これじゃあ緊張感が出ないよ」
 結衣、ハンマーを振る。ヒュン、ヒュンと軽い音。
 彩人「えー、じゃない。お前に怪我させたら俺が旦那様に殺されんだよ。嫌ならやめるぞ?」
 結衣「むぅ……、分かったよ。異論ありませ——ん」(仕方ない、といった表情)

 彩人「よし、それじゃあ説明するぞ」
 ピコン、とハンマーを一回鳴らす。
 彩人「お前の目標である未来視を用いた戦闘スタイルの確立——。そのためには実践あるのみだ。というわけで、未来視を発動した状態で俺に一本とれ。俺も攻撃するから、上手くよけろよ」
 結衣、こくりと頷く。
 両手でピコピコハンマーを構え、未来視発動(目が光る)
 彩人、片手でハンマーを構える。
 彩人「それじゃあ——始め!」

 彩人が踏み込む。
 同時に、結衣の瞳が僅かに揺れる。

 結衣(上、次に横)
 彩人、ハンマーを振り下ろす。
 結衣、半歩引いて回避。
 彩人、続けざまの横薙ぎ。
 結衣、自身のハンマーで受け止める。
 ピコッ、と音が鳴る。
 結衣、彩人のハンマーを払いのけた後に突き攻撃。
 彩人、よける。

 その後も攻防を繰り返し——。
 結衣、息が上がる。
 彩人「どうした、もうお疲れか?」(余裕の笑み)
 結衣「——っ、まだまだっ!」(瞳の光が強くなる)

[未来視]
 彩人、横(肩くらいの位置)からの攻撃。
 攻撃が当たり、ピコッと音が鳴る。
[未来視終わり]

 彩人、横(肩くらいの位置)からの攻撃。
 結衣、しゃがんで回避。そのまま彩人の胴体に攻撃。
 ピコッと音が鳴る。

 二人とも静止。
 一拍。

 彩人、少し驚いた表情。
 結衣「……あ」(現実を理解した感じで)
 結衣「やった……っ」(嬉しそうな表情)
 結衣「やったー!」
 立ち上がりぴょんと跳ねる。
 結衣「わっ」
 着地の際にバランスを崩し、前のめりに倒れ込む。
 咄嗟に彩人が腕を伸ばし、結衣の身体を受け止める。
 ぐいっと引き寄せられ、顔がすぐ目の前。

 結衣「……っ」
 結衣の頬がかぁっと赤くなる。
 結衣(ち、近い……!)
 彩人も一瞬固まる(頬は少し赤い)
 彩人「——まったく。危なっかしいな、お前は」(軽い感じで、視線を逸らしながら)
 彩人、そっと手を離す。
 結衣、慌てて一歩下がる。

 彩人「今日はここまでにするか」
 結衣「う、うんっ、そうだね……。わ、私お風呂入ってくるね!」
 くるりと後ろを向く。

 結衣、屋内へ戻ろうと歩いている最中。
 結衣「これなら——彩人がいなくても大丈夫だね」(少し誇らしげな感じで)
 彩人の口元アップ(え? と小さく驚いているふうに)
 彩人「——隙あり!」
 彩人、結衣の頭をピコンとハンマーで叩く。
 結衣「わぁっ!?」
 結衣、驚いて彩人の方を向く。
 彩人「はっはっは、まだまだ甘いな」(したり顔)
 結衣「もぉ〜」
 結衣、頭を押さえて唇を尖らせる。
 再び歩き出す結衣。
 それを思い悩んだ表情で見つめる彩人。