未来視少女と守護鬼

 ▼結衣モノローグ
『篠ノ井家――。表向きは〝篠ノ井グループ〟という大企業を経営する一族』
 スーツ姿で働く人々、ビル群のイメージ絵。

 ▼結衣モノローグ
『でもその実態は、古くから続く退魔師の家系』
 妖怪と刀を持った人間が戦っているイメージ絵。

 ▼結衣モノローグ
『そして――。代々、女にだけ受け継がれてきた力〝未来視〟その力を持つ者が死ねば、また別の血縁へと移る』
 未来視の印描写。

 ▼結衣モノローグ
『つまり――。お母様が亡くなって、次に選ばれたのが……私』
 胸元に手を当てる結衣。

【時間経過なし】
 ●篠ノ井家・居間
 あちこちボロボロ。
 結衣・聡、机を挟んで座っている。彩人は結衣の隣に座っている。

 聡「昨夜の襲撃で、屋敷は甚大な被害を受けた」
 壊れた屋敷のカットが差し込まれる。
 聡「護衛も多数が負傷している」
 手当てを受けている護衛のカットが差し込まれる。

 結衣、表情を曇らせる。
 聡「……琴絵さんは、必ずまた襲ってくるだろう。このままここに留まるのは危険だ。だから結衣、しばらく別邸へ移れ」
 結衣「別邸……?」
 聡、頷く。
 聡「ああ、あそこはごく一部の者しか知らない。琴絵さんも把握していないはずだ。少なくとも、ここよりは安全だろう」
 結衣「——うん、分かった」(小さく頷く)

 聡「今日から、篠ノ井家の当主はお前だ。——そして彩人くん」
 聡、彩人の方を見る。
 聡「本日より、君を結衣の正式な護衛に任命する。別邸へ同行し、何があっても守ってくれ」
 彩人、座礼。
 彩人「――拝命致しました」
 結衣、彩人の方を見て少し悲しげな表情。


 ●篠ノ井家・玄関前(昼)
 玄関前に車が停まっている。
 彩人、車に荷物を積み、トランクを閉める。
 結衣、少し離れた場所で、その様子を見ている。手にはボストンバック。
(服装:Tシャツ、その上にカーディガン、ショートパンツ)
 結衣、彩人にドアを開けてもらい、車に乗り込む
 車が発進。

 ●山道(昼)
 車が曲がりくねった山道を走る。
 木々に囲まれた道。

 ●別邸・外観(昼)
 山奥にポツンと建っている、モダンスタイルのおしゃれな家
 結衣、ボストンバックを持って車から降りる。
 結衣「わぁ〜、結構新しめな感じなんだね」(明るい感じで)

 ●別邸・内部
 キッチン――スタイリッシュで整った空間。
 リビング――大きな窓があり解放的。
 寝室――落ち着いた色味の内装。

 ●別邸・寝室
 結衣、ボストンバックを持ったまま、部屋を見回す。
 結衣「急な引越しで不安だったけど、ここなら快適に過ごせそう。なんかホテルに泊まるみたいでワクワクするね——」
 彩人「結衣」
 結衣、後ろにいる彩人の方に振り返る。
 彩人「無理しなくていい」(真剣な顔。結衣を心配している)

 結衣、バックを床に落とし、涙を流す。
 結衣「怖い……怖いよ、彩人……。お母様が死んじゃって、私、しっかりしなきゃいけないのに。ずっと怖くて……」
 顔を手で覆う。全身が震えている。

 彩人「——大丈夫だ。何も心配しなくていい」
 彩人、結衣に近付き跪く。
 彩人「これより先、貴女に仇なすものは、全て排除いたします」
 結衣、彩人の行動に少し目を見開き驚く。
 彩人「それが鬼葉の——鬼を血を引く人間の役目」
 彩人が真剣な眼差しを向けてくる。
 結衣の口元だけの描写(何か考えこんでいる感じで)

 結衣「ふっ……。あはははっ!」
 結衣、腹を抱えて笑う。
 結衣「やっぱ似合わないよ、その喋り方」
 結衣、涙を拭う。
 彩人「おまっ、人が真面目にやってることを……!」
 彩人、怒る(本気で怒っている感じではない)

 結衣のお腹が鳴る、
 結衣「あーあ、笑い過ぎてお腹空いちゃった」
 彩人、時計を見る。11時58分くらい。
 彩人「丁度昼時か。何か作ってくる。お前はその間荷解きでもしてろ」
 結衣「んー、なるはやでね」
 彩人「はいはい」
 部屋を出る彩人の後ろ姿描写。


[回想]
 ●篠ノ井家・縁側
 幼少期の彩人(十歳くらい)と彩人の伯父・健人が縁側に座っている
(後ろから眺めている構図)
 彩人「やだよ俺、護衛の仕事なんて」
 それを偶然聞いてしまった幼少期結衣(七歳くらい)
[回想終わり]

 ▼結衣モノローグ
『鬼葉家は、鬼の血を引く一族。その異質さゆえに、長く迫害を受けてきた。そんな彼らを匿ったのが、篠ノ井の祖。以来、鬼の血を色濃く継ぐ者は篠ノ井家当主——未来視を持つ者の護衛として、その一生を捧げる』

 結衣(お母様は自分の幸せを第一にって言ってたけど……。私は、好きな人の幸せを優先したい)
 結衣(私が彩人を頼らなくてもいいくらい強くなれば、周囲も納得してくれるはず。大丈夫、この力があれば、きっと——)
 襟をぎゅっと掴む。