revival june

 だが、墓地を出てすぐに涼は嫌な気配を感じた。
「涼」
「うん」
 襲撃を受ける前に五日市駅から感じていたモノに似ていた。
 敵が近くにいるのか?
 涼は周りを見渡すけど、人がいる様子はない。けど確実にどこかからみられている感じは強くしている。
 涼はすっとポケットに入っている救難信号を押す。これで陽菜さんが来てくれるはずだ。
「睦美、今信号を出した。急いで町に降りよう」
「うん」
 しかし、待たせていたはずのタクシーの姿がどこにもいなかった。
「そんな……」
「やられた」
 これで自分の足以外は使えなくなった。
「降りよう」
「それしかないわよね」
 異形の身体を初めて使う。訓練であれほどやってきたことだ。大丈夫と言い聞かせた。
「一気に駆け降りるよ」
「うん」
「1・2・さん!!」
 涼と睦美は駆け出した。山道で途中ほぼ180度折り返す道もあるけど、前の壁を蹴って強制的に反転させる。二人のパワーで蹴ったために土砂崩れみたいなことになってしまったけど、安全には変えられない。
 しかし嫌な気配はぴったりとついてきた。前回と違って異形の身体を出しているからごまかしがきかない。涼と睦美は忍者顔負けの身のこなしで一気に駆け降りる。が、あとちょっとというところで半年ぶりに見る顔が二つあった。
「ようやく見つけたぞ」
「お久しぶりですね。松月涼様、広川睦美さん」
「「!!」」
 あの時の男女が今度はたくさんの部下らしき仮面をかぶった人たちを従えて立ちふさがった。
「松月涼、広川睦美。もう一度チャンスをやる。俺たちと来い」
 男はまた勧誘を行う。
 もちろん、二人の答えは決まっていた
「強引な勧誘はお断りします」
「イケメンだからってなんでも許されるって思わないでよね」
「威勢がいいようだが、今回はあの女の助けはないぞ」
 どうやら救難信号のことは知らないようだ。涼はそこは安心した。もちろん陽菜さんを対策して山形に入る前に足止めしようとしている可能性はある。そこは心配だ。
「だとしても、いつまでも誰かの助けになるのだけはよくないでしょ」
「僕たちだけで、何とかする。そこをどいてもらうよ」
 いきなり実戦だけど、生き残るためには何とかするしかない。
 よく見ると囲まれているようだった。涼はそれを察知しすぐに睦美に伝える。
「睦美。後ろにもいるね」
「うん。いつの間にか」
 なんとか背中側にいるであろう敵に目を配らせるけど、前にいる二人を気にしているから難しい。
「とにかく、陽菜さんが来るまでこらえるしかない」
「そうみたいね」
「……後ろ、任せていい?」
「もちろん。その代わり、前、任せたよ」
「OK。睦美には指一本触れさせない」
 瞬時に背中合わせになり、二人は戦闘態勢を取る。
「ふん。作戦会議をしても答えは変わらないか。ならこちらもそれ相応の対応をさせてもらおう」
 男の合図で敵の全員が動き出した。