revival june

「帰省ですか?」
 訓練の第一段階を修了した次の日、涼と睦美は霧島さんに呼び出されて遊園地側の園長室へ来ていた。
 内容を聞いた涼は思わずオウム返しをしてしまった。
「ああ。君たちが来てからもう半年経つけど、まだ一回も帰れてないでしょ?本来夏休みの時期もずっと訓練させちゃったからね。ちょうど一段落したんだから、親御さんに顔を見せて安心させてきな」
 嬉しい提案だった。親は一応月に一回来ているけど、やっぱり地元の空気を吸いたいし、母親の料理も食べたい。
 涼は睦美と顔を見合わせる。睦美の目に輝きが感じられた。
「ちなみにぃ……それって何日いいんですか?」
「1週間越さなきゃいいぞ」
 1週間。それが学生の帰省としては多いのか少ないのかは分からなけど、ゆっくりできる時間は確実に取れる。この半年少し頑張りすぎたかなと思い返し、答えはすぐに出た。
「「お願いします」」
「OK。日程とか決まったら教えてくれ」
「「はい」」
 急ではあるけど、久しぶりに地元に帰れることになった涼と睦美の部屋への足取りは非常に軽かった。
「ねえ涼。涼は何日から行こうと思ってる?」
「まだわからないな。母さんたちに予定聞かないとだし」
「できたらさ、行き帰りは同じがいいな」
「それはそうしたいな」
 思えばデートすらちゃんとしたことがなかった。最初のデートは通り魔に台無しにされたし、ここに来た次の日に遊園地を回ったけど、あれはこれから世話になるところの案内だから、睦美のほかに陽菜さんもいた。
 帰省から戻るときにちょっとデートしたいな。そう思った。
「うまく合わせられるか聞いてみよう」
「早くて何日に行かれそうかな?」
「明後日かな」
「じゃあ明後日で伝えてみよう」
 部屋に戻った二人はさっそく実家へ電話を入れて、帰省することを伝える。
「やっとかこのバカ息子。私、てっきりいろいろすっとばして睦美ちゃんとハネムーンに行くのかと心配してたんだから」
 なんか斜め上の返答が返ってきた。
「何言ってるの母さん……」
「まだ私をおばあちゃんにするには早すぎるわよ」
「なんか、僕と母さんは別に時間を生きてるのかな?」
 アニメで男女がいい感じなところにお茶菓子を届けに来た時の母親みたいな感じになっているな。涼は母親のちょい暴走に苦笑いした。
「それに、まだ早いよ。僕には……」
「で、いつ帰ってくるの」
「早くて明後日」
「明後日ね。いいわよ」
「いいの?」
「仕事はあるけど、ここはあんたの実家なんだから。いつでも帰ってきていいんだから」
「ありがとう。ちょっと待ってね」
 こっちは許可が取れた。睦美のほうは大丈夫かなと確認しに行こうとしたけど向こうから来てくれた。
「涼、こっちはOK」
「よかった。僕もOKだよ」
「やった!!」
 そのやり取りを聞いていたのか母さんのからかうような声がスマホから聞こえてくる
「なーるほどねえ。そうよねー」
「いいでしょ別に」
「もちろん!!そういえばこの半年の進展もじぃっっっくり聞かせてもらうわよ」
「もう!!」
 睦美も無事同じ日程が取れたみたいなので、準備と霧島さんへ報告して帰省の準備を始めた。