霧島社長の顔が真面目なものに変わっていよいよ始まる。涼は背筋を伸ばした。
「えっと、まずはそうだな。……これはちょっと確認なんだけど君たちはこの前の通り魔事件の被害者ってことでいいかな?」
いきなりその話題が出たことに顔が強張るのがわかった。
「……はい。僕が刺されて」
涼が答えると霧島はうんうんと少しうなり、納得したように顔を上げた。
「じゃあ本題に入ろう。突然だけど君たちは妖怪とか、鬼とか、怪異とか。そういうものを信じるかな?」
「妖怪や鬼?」
「怪異ですか?」
「そうだ」
本当に突然オカルトな質問をされた。だけどこれも何かあると思い、ひとまずは答えることにした。
「……信じるか、信じないかだったら、僕は信じます」
「……私もその二択なら信じます」
「そいつはよかった。単刀直入いうと、君たちはその妖怪や鬼、怪異。俺達は異形と呼んでいるんだが、その異形になってしまったんだ」
「「……はぁ?」」
真面目な顔をして何を言ってるんだ?と、涼は一瞬思ってしまった。
「詳しく言うと、君たちのご先祖様を辿るとどこかに異形がいるはずだ。で、君たち遺伝子の中に薄まっていた異形の遺伝子が通り魔事件をきっかけ呼び覚まされて蘇り、体が人間から異形へと変わってしまったんだ」
「私たちのご先祖様に異形がいて……」
「僕たちにその異形の遺伝子があり、薄まっていたはずの遺伝子が蘇った?」
訳がわからなかった。頭の整理をしたくても、どこから手を付けたらいいのかわからなくない。
「その前に異形について説明しようか」
涼と睦美は一呼吸置いてから霧島さんの説明を聞いた。
異形とは昔日本に実在した怪物で、妖怪や鬼と呼ばれる通り人を襲うことが多く常に人と対立し、恐れられていた存在だった。
脅威だったのは身体能力で、体力、筋力、スピード、どれをとっても人間の最低10倍はあり、また五感もとてつもなく優れていて、特に嗅覚は鋭く、合戦後には必ずたくさんの異形が集まったらしい。それに加え、大体の個体が大きな爪や牙を持ち、攻撃が当たれば大怪我は免れなく、専門の訓練を受けた退治職人出ないと刃が立たなかったそうだ。
姿形はさまざまで、エイリアンやファンタジーゲームの敵モンスターみたいな悍ましい姿のモノや魚や鳥といった動物、植物に足がついて動いている感じのモノ、中には人の姿をしたモノもいたらしい。また知能が高い個体も多く、人の言葉を理解して喋ったり、人間の武器を真似して作ったりした個体もいた。
そして異形には人間や他の動物と明確に違うのは、術や技が使えるというもの。どんなに弱い個体でも何かしらの技を使うことができる、例えば”口から火炎放射を出す”とかだ。何かしら一つは使えたらしく、今わかっているだけで火、水、風、土の四種類。強い個体になると気をためて衝撃波を出した、みたいな記録もあるみたいだ。
だけど、そんな異形も無敵というわけではない。攻撃を喰らい過ぎれば死んでしまうし、異形は再生スピードも驚異的な早さらしいが、その再生が追いつかないくらい早く身体に損傷を与えれば死ぬらしい。
まるでゲームのラスボスみたいな存在だと涼は思った。だけど同時に疑問も出てくる。
「じゃあ何でこの現代に異形がいないんですか?」
「江戸時代にある転機があったんだ」
江戸時代に入って少しして、今で言うと南海トラフ地震みたいなものが発生して日本は大きな被害に見舞われた。最悪なことに地震と連動したのか、九州から関東にある3つの火山が追い打ちをかけるように噴火してしまい、壊滅状態に陥った。それは異形も同じで、異形はその年で3分の1が死んだと言われている。だけど人間、異形ともに窮地に陥ったことで2つの種族は手を取り合うことを決めた。協力しながら再興することを通していがみ合いがなくなり、そして人間と異形の間に子供が生まれることも増えてきた。けどその結果異形は元々数が少なかったのと、人と交わる数が増えたことで、純粋な異形は逆に数を減らしていった。最終的には人と同化する形で黒船来航前には消えていたそうだ。
「そういうことだったんですね」
異形と言えど、自然の力には叶わなかったのか。と涼はしみじみと思った。
「えっと、まずはそうだな。……これはちょっと確認なんだけど君たちはこの前の通り魔事件の被害者ってことでいいかな?」
いきなりその話題が出たことに顔が強張るのがわかった。
「……はい。僕が刺されて」
涼が答えると霧島はうんうんと少しうなり、納得したように顔を上げた。
「じゃあ本題に入ろう。突然だけど君たちは妖怪とか、鬼とか、怪異とか。そういうものを信じるかな?」
「妖怪や鬼?」
「怪異ですか?」
「そうだ」
本当に突然オカルトな質問をされた。だけどこれも何かあると思い、ひとまずは答えることにした。
「……信じるか、信じないかだったら、僕は信じます」
「……私もその二択なら信じます」
「そいつはよかった。単刀直入いうと、君たちはその妖怪や鬼、怪異。俺達は異形と呼んでいるんだが、その異形になってしまったんだ」
「「……はぁ?」」
真面目な顔をして何を言ってるんだ?と、涼は一瞬思ってしまった。
「詳しく言うと、君たちのご先祖様を辿るとどこかに異形がいるはずだ。で、君たち遺伝子の中に薄まっていた異形の遺伝子が通り魔事件をきっかけ呼び覚まされて蘇り、体が人間から異形へと変わってしまったんだ」
「私たちのご先祖様に異形がいて……」
「僕たちにその異形の遺伝子があり、薄まっていたはずの遺伝子が蘇った?」
訳がわからなかった。頭の整理をしたくても、どこから手を付けたらいいのかわからなくない。
「その前に異形について説明しようか」
涼と睦美は一呼吸置いてから霧島さんの説明を聞いた。
異形とは昔日本に実在した怪物で、妖怪や鬼と呼ばれる通り人を襲うことが多く常に人と対立し、恐れられていた存在だった。
脅威だったのは身体能力で、体力、筋力、スピード、どれをとっても人間の最低10倍はあり、また五感もとてつもなく優れていて、特に嗅覚は鋭く、合戦後には必ずたくさんの異形が集まったらしい。それに加え、大体の個体が大きな爪や牙を持ち、攻撃が当たれば大怪我は免れなく、専門の訓練を受けた退治職人出ないと刃が立たなかったそうだ。
姿形はさまざまで、エイリアンやファンタジーゲームの敵モンスターみたいな悍ましい姿のモノや魚や鳥といった動物、植物に足がついて動いている感じのモノ、中には人の姿をしたモノもいたらしい。また知能が高い個体も多く、人の言葉を理解して喋ったり、人間の武器を真似して作ったりした個体もいた。
そして異形には人間や他の動物と明確に違うのは、術や技が使えるというもの。どんなに弱い個体でも何かしらの技を使うことができる、例えば”口から火炎放射を出す”とかだ。何かしら一つは使えたらしく、今わかっているだけで火、水、風、土の四種類。強い個体になると気をためて衝撃波を出した、みたいな記録もあるみたいだ。
だけど、そんな異形も無敵というわけではない。攻撃を喰らい過ぎれば死んでしまうし、異形は再生スピードも驚異的な早さらしいが、その再生が追いつかないくらい早く身体に損傷を与えれば死ぬらしい。
まるでゲームのラスボスみたいな存在だと涼は思った。だけど同時に疑問も出てくる。
「じゃあ何でこの現代に異形がいないんですか?」
「江戸時代にある転機があったんだ」
江戸時代に入って少しして、今で言うと南海トラフ地震みたいなものが発生して日本は大きな被害に見舞われた。最悪なことに地震と連動したのか、九州から関東にある3つの火山が追い打ちをかけるように噴火してしまい、壊滅状態に陥った。それは異形も同じで、異形はその年で3分の1が死んだと言われている。だけど人間、異形ともに窮地に陥ったことで2つの種族は手を取り合うことを決めた。協力しながら再興することを通していがみ合いがなくなり、そして人間と異形の間に子供が生まれることも増えてきた。けどその結果異形は元々数が少なかったのと、人と交わる数が増えたことで、純粋な異形は逆に数を減らしていった。最終的には人と同化する形で黒船来航前には消えていたそうだ。
「そういうことだったんですね」
異形と言えど、自然の力には叶わなかったのか。と涼はしみじみと思った。

