本当に学校と寮には電話一本で外泊の許可が下りてしまった。
いくら霧島不動産の社員だからって何をどうすれば親族以外で外泊許可がとれるんだ?涼の疑問は尽きなかった。何より車を宙に飛ばしてしまったことが衝撃的すぎて電車の中では一言も話さずただ前を見て人形のようになっていた。
電車で一時間ほどで幟戸駅に着き、ここで降りた。帰宅ラッシュの時間でしかも乗り換えの駅らしく多くの人が下りた。そしてその人の波に従って小田急線に乗り換える。そして一駅で降りた。
「ちょっと待ってください。ここ歩いたほうがよくないですか!?」
何しろカーブを曲がっただけで感覚的には600メートルもないんじゃないかというくらい短かった。これで一駅分お金を払うのは勿体ない気がしてきた。
「こっちの方が便利なのよ。来て」
涼の突っ込みを軽くスルーして陽菜は進んだ。
改札を出るとスロープの真ん中に大きな建物があるのが目に入る。
「これに乗るわよ」
階段を上ると駅になっていた。
「モノレールですか?」
ホームには白くてロケットのような新しくて美しい車体があった。お客さんはそんなに乗っていない。
「乗って」
すぐにドアが閉まり、発車する。涼はモノレールに乗ったのは初めてで、外を見てみる。夜だから景色は見えなかったけど、空を飛んでいるような感覚になって少し楽しかった。
5分もしないうちに終点に着いた。
「生田花の丘公園……」
モノレールはここへお客さんを運ぶためのものだったのかと分かった。
二人が門に気を取られていると、陽菜は門にいるスタッフに声をかける。
「ただいま戻りました」
「あ、塩屋さんお疲れ様です」
「話してあった通り、二人今から入るよ」
「了解しました」
話を終えるとすぐに戻ってきて涼と睦美の手を引く。
「行くわよ」
閉まっている門の横の事務スペースから園の中へ入る。すると左手に大きな階段が現れた。
「大きい……」
夜で明かりも少ないから全貌はわからないけど、一番上が見えないことはわかった。
「エスカレーターは止まっているから階段で行くよ」
よく見ると階段の右にはエスカレーターが二機ある。が陽菜さんの言う通り止まっていた。
階段が1ブロックごとに脇と真ん中と交互に花が植えられているところがあり、真ん中にはフラワー時計もあった。夜にもかかわらず、涼と睦美は足を止めて花に見入ってしまった。
「何してるの。行くわよ」
「「ごめんなさい」」
階段を上り切ると大きな広場に出た。広場を左に曲がって少しして大きな観覧車が見えてきて、お化け屋敷、ジェットコースター乗り場を横目に進むと大きな池が見えてきた。スワンのボートがたくさんあってカップルが乗ってる姿が涼の頭に浮かんだ。
そこから従業員用のスペースを進み、扉を開けエレベーターで下に降りた。いかにも裏方といった感じの無機質な通路が続き、少し先の会議室らしき場所に案内された。
「じゃあちょっと待ってて」
そういうと陽菜は部屋を出た。
残された二人は話すことなくただボーっと前を見つめていた。いろいろなことがありすぎて頭がパンク寸前だと涼は感じた。
とはいえこの無言の空気は睦美と再会した時の気まずさに近いものがあって、これはこれで嫌だった。
「ここってさ、遊園地なんだね」
「そ、そうだね」
しびれを切らしたのか睦美がこの施設の話を涼に振った。またしても睦美から話させてしまったことに申し訳なさが出てきたが、この施設は涼も気にはなっていたので話のネタとしてはちょうどよかった。
「すごかったよね、あの階段。花の時計とか」
「広場の花もよかったよね。昼来たらどうなんだろう」
それからは一気にこの施設について話をした。途中で見本のパンフレットが近くの机に置いてあり、
「お待たせ……結構盛り上がってるわね」
「はい。いいところ見つけたなって思って」
「昼来たらどうなんだろうって想像したら話が膨らんじゃっいまして
「それはうれしいな」
陽菜の後ろから30代半ばくらいでちょっと小太りの優しそうな男が出てきた。その男に涼は見覚えがあった。
「初めまして。この『生田花の丘公園』園長で児童施設『紅葉の杜』所長、そして霧島不動産グループの取締役社長、霧島明です」
「「ええ!!」」
どおりで見たことがあったんだと涼は納得がいった。先輩が落とした就活の資料がちょうど霧島不動産のページでそこに写真が載っていたからだ。しかし生の社長さんを前に涼は再び全身に変な力が入ってしまった。
「あはは、リラックスしてくれ。別に面接に来たわけじゃないんだから」
不思議とその言葉を聞いてふっと力が抜けた。睦美もすーっと深呼吸をして落ち着きを取り戻せたようだった。
「初めまして、松月涼です」
「初めまして、広川睦美です」
「よろしくな二人とも。さて、ここに来てもらったはもちろん君たちの身に起きたことを教えること。それと、君たちには真実を知ってもらいたいからだ」
「真実……ですか?」
「ああ。陽菜さん、どこまで説明したんですか?」
「ほとんど何も。ただ、二人には車を投げてもらいました」
「いきなりそんなことさせたらこんがらがっちゃうでしょう。もうちょっと穏便にしてくださいよ」
「二人の警戒心が強かったので、強硬手段に出ました。すみません」
「いや、俺に謝られても……。二人ともごめんね。陽菜さんはめっちゃ強くていい人なんだけど、ちょっと脳筋なところがあるから」
「霧島さん?」
「ヒッ……なんでもありません」
「また奥さんに言いつけますよ」
「それだけはやめてー!!」
奥さんに弱いんだ。どこの家庭もそうなんだなと涼は父親を思い浮かべながらながらしみじみと思った。
「ゴホン。じゃ、始めようか」
いくら霧島不動産の社員だからって何をどうすれば親族以外で外泊許可がとれるんだ?涼の疑問は尽きなかった。何より車を宙に飛ばしてしまったことが衝撃的すぎて電車の中では一言も話さずただ前を見て人形のようになっていた。
電車で一時間ほどで幟戸駅に着き、ここで降りた。帰宅ラッシュの時間でしかも乗り換えの駅らしく多くの人が下りた。そしてその人の波に従って小田急線に乗り換える。そして一駅で降りた。
「ちょっと待ってください。ここ歩いたほうがよくないですか!?」
何しろカーブを曲がっただけで感覚的には600メートルもないんじゃないかというくらい短かった。これで一駅分お金を払うのは勿体ない気がしてきた。
「こっちの方が便利なのよ。来て」
涼の突っ込みを軽くスルーして陽菜は進んだ。
改札を出るとスロープの真ん中に大きな建物があるのが目に入る。
「これに乗るわよ」
階段を上ると駅になっていた。
「モノレールですか?」
ホームには白くてロケットのような新しくて美しい車体があった。お客さんはそんなに乗っていない。
「乗って」
すぐにドアが閉まり、発車する。涼はモノレールに乗ったのは初めてで、外を見てみる。夜だから景色は見えなかったけど、空を飛んでいるような感覚になって少し楽しかった。
5分もしないうちに終点に着いた。
「生田花の丘公園……」
モノレールはここへお客さんを運ぶためのものだったのかと分かった。
二人が門に気を取られていると、陽菜は門にいるスタッフに声をかける。
「ただいま戻りました」
「あ、塩屋さんお疲れ様です」
「話してあった通り、二人今から入るよ」
「了解しました」
話を終えるとすぐに戻ってきて涼と睦美の手を引く。
「行くわよ」
閉まっている門の横の事務スペースから園の中へ入る。すると左手に大きな階段が現れた。
「大きい……」
夜で明かりも少ないから全貌はわからないけど、一番上が見えないことはわかった。
「エスカレーターは止まっているから階段で行くよ」
よく見ると階段の右にはエスカレーターが二機ある。が陽菜さんの言う通り止まっていた。
階段が1ブロックごとに脇と真ん中と交互に花が植えられているところがあり、真ん中にはフラワー時計もあった。夜にもかかわらず、涼と睦美は足を止めて花に見入ってしまった。
「何してるの。行くわよ」
「「ごめんなさい」」
階段を上り切ると大きな広場に出た。広場を左に曲がって少しして大きな観覧車が見えてきて、お化け屋敷、ジェットコースター乗り場を横目に進むと大きな池が見えてきた。スワンのボートがたくさんあってカップルが乗ってる姿が涼の頭に浮かんだ。
そこから従業員用のスペースを進み、扉を開けエレベーターで下に降りた。いかにも裏方といった感じの無機質な通路が続き、少し先の会議室らしき場所に案内された。
「じゃあちょっと待ってて」
そういうと陽菜は部屋を出た。
残された二人は話すことなくただボーっと前を見つめていた。いろいろなことがありすぎて頭がパンク寸前だと涼は感じた。
とはいえこの無言の空気は睦美と再会した時の気まずさに近いものがあって、これはこれで嫌だった。
「ここってさ、遊園地なんだね」
「そ、そうだね」
しびれを切らしたのか睦美がこの施設の話を涼に振った。またしても睦美から話させてしまったことに申し訳なさが出てきたが、この施設は涼も気にはなっていたので話のネタとしてはちょうどよかった。
「すごかったよね、あの階段。花の時計とか」
「広場の花もよかったよね。昼来たらどうなんだろう」
それからは一気にこの施設について話をした。途中で見本のパンフレットが近くの机に置いてあり、
「お待たせ……結構盛り上がってるわね」
「はい。いいところ見つけたなって思って」
「昼来たらどうなんだろうって想像したら話が膨らんじゃっいまして
「それはうれしいな」
陽菜の後ろから30代半ばくらいでちょっと小太りの優しそうな男が出てきた。その男に涼は見覚えがあった。
「初めまして。この『生田花の丘公園』園長で児童施設『紅葉の杜』所長、そして霧島不動産グループの取締役社長、霧島明です」
「「ええ!!」」
どおりで見たことがあったんだと涼は納得がいった。先輩が落とした就活の資料がちょうど霧島不動産のページでそこに写真が載っていたからだ。しかし生の社長さんを前に涼は再び全身に変な力が入ってしまった。
「あはは、リラックスしてくれ。別に面接に来たわけじゃないんだから」
不思議とその言葉を聞いてふっと力が抜けた。睦美もすーっと深呼吸をして落ち着きを取り戻せたようだった。
「初めまして、松月涼です」
「初めまして、広川睦美です」
「よろしくな二人とも。さて、ここに来てもらったはもちろん君たちの身に起きたことを教えること。それと、君たちには真実を知ってもらいたいからだ」
「真実……ですか?」
「ああ。陽菜さん、どこまで説明したんですか?」
「ほとんど何も。ただ、二人には車を投げてもらいました」
「いきなりそんなことさせたらこんがらがっちゃうでしょう。もうちょっと穏便にしてくださいよ」
「二人の警戒心が強かったので、強硬手段に出ました。すみません」
「いや、俺に謝られても……。二人ともごめんね。陽菜さんはめっちゃ強くていい人なんだけど、ちょっと脳筋なところがあるから」
「霧島さん?」
「ヒッ……なんでもありません」
「また奥さんに言いつけますよ」
「それだけはやめてー!!」
奥さんに弱いんだ。どこの家庭もそうなんだなと涼は父親を思い浮かべながらながらしみじみと思った。
「ゴホン。じゃ、始めようか」

