レベル1のわたしと解けない魔法

 バイトから帰ってゲームをするべくテレビをつけようとした。
 しかし、テレビがつかない。
 スイッチを入れても反応しないのだ。
 なんどやってもテレビは映らない。
 これじゃあゲームができない。
 わたしのパソコンは『ファースト・ファンタジー11』がプレイできるほどのスペックはないし。

「どうしよう……」

 そうつぶやいたとき、ふと思い出す。
 リーダー、そういえば電気関係の企業勤めだっていってたな。
 こういうことには詳しいのかもしれない。
 ちょうど、オフ会の参加表明をしたときに、電話番号とEメールアドレスを教えてもらっている。
 わたしはリーダーに「テレビが壊れたんですが、何か対処法はありますか?」という内容のメールをした。
 返事はすぐにきた。
 リーダーは色々な方法を試してみるといい、というアドバイスをくれた。
 しかし、何をしても画面は映らない。
 それを伝えると、 リーダーから返事。

  買い替えるしかないかなあ。
  オークションとかなら中古のテレビがあるよ。

 リーダーはそういって、おススメのメーカーを教えてくれた。
 わたしはリーダーのやさしさに胸を打たれた。
 ああ、やっぱり優しいな、この人は。
 そう思いながらメールに返事をする。

 ありがとうございます。
 とても助かりました。
 今日はバイトでも嫌なことがあって……。それでゲームもログインできなくて……。
 落ち込んでいたら、こんなふうに丁寧なメールをくれて、うれしかったです。

 メールを送信すると、リーダーから数分後に返事がくる。

 いやいや、テレビ壊れると焦るよね、わかるよ。
 それに社会に出ると嫌なこと多いよね。
 仕事の内容もそうだけど人間関係とか、うんざりする。
 もし、また落ち込んで誰も相談する相手がいなかったら
 俺でよかったら話を聞くよ。

 わたしは、そのメールに涙がこぼれた。
 深い深い海の底へ沈んでいきそうだったのを、リーダーが助けてくれたみたいだ。
 リーダーだけが、わたしの唯一の味方のように思えた。

 それからわたしは、リーダーにたまにメールを送るようになった。
 バイトの人間関係、将来の夢がないこと……。
 わりと重い話でも、リーダーは優しく丁寧な返事をくれた。
 パソコンのメールを開くたび、リーダーへの想いは強くなる。
 彼からの返事を保存し、宝物みたいに何度も読み返した。