レベル1のわたしと解けない魔法

 ある日、ギルドのメンバーでパーティーを組んで、強いボスに挑むイベントへ。
 わたしは基本的にゆるいプレイで楽しければ良いというスタンスだ。
 とはいえ、戦闘は真剣にやるけれど。

 イベントのボスは、思った以上に強かった。
 少しの油断が命とりになる。
 ボスの攻撃に前衛ひとりが死亡すると、パーティーがどんどん追い詰められ、最終的に全滅してしまった。
 
 死んでいるとなにもできない。
 チャットしかできない。

  Pyuta:どうする?別イベントから帰ってきたギルメンに復活魔法頼む?
  ギルメン(僧侶):ごめん。わたしが回復魔法遅れたせいで……。
 
 そういって謝罪したのは、高レベルでプレイヤースキルも高い僧侶のギルメン。
 彼女はなにひとつ悪くない。足を引っ張ったとしたらわたしだ。
 わたしのプレイヤースキルが低いせいで、僧侶さんの負担が大きかったんだ。
 辺りは暗く、人気はない。
 なんだかどよーんとした空気になる。
 わたしは楽しければOKだけど、みんながそのスタイルだとは限らない。
 わたしがキーボードを打とうとしたとき。

  Pyuta:いやいや、僧侶さんのせいじゃないよ。実は俺、連携失敗したwww
  ギルメン(戦士):あ、だから連携のときに手ごたえなかったのかwww
  Pyuta:ごめんごめん。タイミングずれちゃった。
  ギルメン(ナイト):戦闘前に「連携ミスしたらごめんね」とか言ってたけど本当にするなよwwww
  Pyuta:いやー。面目ない。お詫びに薬草おごる
 
 わたしはホッとした。
 なんだ自分のプレイヤースキルの低さも「大丈夫だよ」といわれたような気がして救われた気分だ。
 リーダーのおかげで一気にその場が和んだ。
 暗い雰囲気なんて吹き飛んでいった。
 リーダーはいつもこうだ。
 こうしてその場の空気を楽しいものに変えてしまう。
 まるで魔法使いのよう。

 そして、たまたま近くを通りかかったパーティーに、わたしたちは無事に復活魔法をかけてもらい、全員が生き返った。

  Pyuta:大変たすかりました。ありがとうございました。

 リーダーが復活魔法をかけてくれたパーティーにお礼をいっている。
 その姿を、わたしはぼんやりと見ていた。
 大人だなあ。
 カッコいいなあ。
 無意識のうちに思って、ハッとする。
 え、かっこいい?
 リーダーを???
 わたしは、リーダーを見る。
 そこにいたのは、ゲーム内の男性キャラでしかない。
 だけど、なんだか輝いて見える。

 これは……恋……?
 いやいやまさかね。