「八番、いくぞ」
と、がっと私の腕を掴む。
抵抗しても無駄だよね。私は力なくその男に従う。
私をつれて舞台を歩きながらその男は言った。
「お前、親に売られたんだろ? ここにはそういうやつばっかり集められるからな」
と、下卑た笑いを浮かべる。
なにそれ、どういうこと? 私、借金のカタに売られたって事?
ない、そんなことあるわけないじゃない。絶対おかしいよ。何か裏があるはずだ。
言いかえしたいけど口をふさがれているからなんにも言えなくて、私は男に引きずられながらぶの真ん中に連れてこられた。
そして腕を離されてその場にペタン、と座り込む。
手も足も冷たくて感覚がない。
客席を見回すと、けっこう人がいるみたいだった。
スーツよりも和装っぽい服の人が多いかも。お金ある人は和モダンみたいな服、着たがるんだよね。
みんな仮面を被っているから顔まではわかんない。
私、この人たちに買われるんだ。
あーあ……短い人生だったな。売られたら私、どうなるんだろう。
私の頭の中に、両親と妹、それに卒業旅行に一緒に行った友だちの顔がよぎる。
奈美、きっと心配しているよなぁ……
そう思うと、自然と涙が溢れ出た。そんな私の想いなんて無視して、司会の声が響く。
『ナンバーエイト! 高校を卒業したばかりです。まだ清らかな身体で、この子も髪を染めたことのない綺麗な黒髪をしています。百からでお願いします』
なにその宣伝文句。
他に何かないの?
私は客席を見ながら扉が開いて救出が来ないかなと妄想する。
掲示板で読んだ都市伝説。正義の味方が颯爽と現れて助けてくれるとかないかなぁ……
やだ、絶望過ぎて幻まで見えてきそう。
なんかマイクのスタッフが値段を言っているけどよく聞こえない。
その時だった。
バチン。と電気が落ちた。
