家なし少女はあやかし執行官の執愛に囚われる

『じゃあね、葉月。楽しい大学生活送ろうねー』

『うん、奈美、好きな人とうまくいくといいねー』

 って、友だちの奈美と別れて家には行ったら、家族がいないもぬけの殻の家が待っていた。
 そこに現れた借金取りによって、訳が分からないままここに連れてこられた。
 最悪が過ぎる状況でしょう、これ。これ以上の不幸なんてこの世に存在しないと思う。
 映像は暗くて客席の様子はよくわからない。舞台の大きさからしてけっこう広いと思う。
 舞台の上には顔の半分を隠した黒い羽織にスラックスを穿いた姿の人がいて、ワイヤレスのヘッドマイクをつけて喋っている。
 袖から新しい女の子が舞台上へと連れて行かれる。たぶんあれで六人目。皆同じしろいワンピースを着せられているんだけど、胸に数字が書かれている。
 あの子は六。私は八。
 ってことは、この次の次が私の番?
 そう思ったらすごく怖くて身体が震えてくる。
 マイクをつけた仮面の男が女性を手で示して言った。 

『ナンバーシックス、親を失いひとりけなげに奨学金を受けて大学に通う才女です! まだ清らかな身体です。百からどうぞ!』

 清らかって何よ? そう言う意味よね。想像するとすごく気持ち悪い。
 カタカタ震えて見ていると、仮面の男が視線を巡らせる。

『千百でました! ……はい、千二百! 次はいませんか?』

 なんでこんな人身売買が許されてるのよ?
 ありえないでしょ?
 怒りに震えるけど、私にはなすすべもない。
 次の子が連れて行かれていく。私、この次だ。どうしよう。
 私を連れ去った人たちは借金取りだって言っていた。
 借金を残して家族が夜逃げしたから、私を売って借金返済に充てるつもりらしい。
 マジで意味わかんないんだけど。お父さんたちが借金していたなんて聞いたことがない。
 なのになんでこんなことになっているんだろう。
 あー、みじめな人生だったなぁ。そう思ったら涙が出てきた。
 そんな私に、黒いスーツに顔の半分を隠した仮面の男が近づいてくる。