家なし少女はあやかし執行官の執愛に囚われる

 私、当麻葉月(とうま はづき)。十八歳。どこにでもいる高校生だ。なのに今、人生のなかで一番最悪な状況におかれていた。
 周りには私と同じくらいの女の子たちがソファーに座らされて、震えながら舞台から聞こえる声を聞いている。
 どうしてこうなっちゃったんだろう……
 怖くて身体がぶるり、て震えた。
 辺りは薄暗くて、非常口を表す緑色の電灯だけが心もとなく光っている。そして私たちを見張る黒い羽織に仮面で顔を隠した男たち。すごく異様な雰囲気だ。
 私たちは全員、白地に雪の柄が入った和モダンな、袖がひろがったワンピースを着せられている。
 それに皆、声が出せないように口を塞がれていて何にも喋れない。それに手や足には枷が嵌められていて、歩くことはできても走るまではできない。
 ただ、ソファーに座らされてすすり泣いて、自分たちの番を待つだけだった。

『……千出ました! その上はいませんか?』

 そんな声が聞こえてきて、すすり泣く声が続く。
 不安な気持ちで私は舞台袖に置かれたブラウン管のテレビを見つめた。
 テレビは六個くらい並んでいて、客席や舞台の上を映し出している。映像はあんまりきれいじゃない。
 舞台の上にはたぶん二十歳前後の黒い髪の女の子が、手錠と足枷をされて床にへたり込んでいる。
 彼女には千の価値がついたらしい。たぶん一千万円、てことよね。
 そう思ったらものすごく怖くなってきた。
 これは人身売買の闇オークションだ。
 なんで私みたいな何のとりえもない高校生がオークションにかけられてるのよ?