Bメロみたいな恋だった

午後の練習が終わりスマホを見るもみずきからのメッセージはなかった。こっちから試合結果を確認するのは違う気がしてその時は何も送らなかった。

いつもの夕飯を食べて、いつもの風呂に入る。
みずきのことも少しずつ頭から離れかけていたころ、スマホが鳴った。

確認すると、けんたからのゲームの招待リンクだった。送るとアプリ内でボーナスがもらえる、あの手のやつだ。

俺は少し苛つきながら既読をつけて、送ってくんな、と返した。

その流れのまま惰性でSNSを開いて、そこでようやく、みずきからメッセージが来ていたことに気づいた。

「負けちゃった」

そうメッセージが来ていた。なんとなく予想していたが、正直なんて返せばいいかわからない。みずきならなんて言うんだろうか。
きっと真っ直ぐな、でも相手を気遣ったような、そんな言葉を送るんだろうか。

色々考え結果、とりあえず、
「お疲れ様」
と送った。

既読はついたが、みずきからの返信はない。
焦った。次の言葉を打っては消して、打っては消す。ようやくまとまって送信を押す。

「でも、全力でやったんでしょ?じゃあいいんじゃない?」

薄い。取り繕ったような言葉。

「そうかな」

みずきからようやく返信がきた。俺は少し安心して続けてメッセージを送る。

「そうだよ、まあそれにうちとしてはすごい成績だったんでしょ?伝統を塗り替えたってやつ?かっこいいと思う」

送ってから、また違うと思った。
言葉が全部、みずきの悔しさの外側を滑っている感じがした。

返信が来る。

「そんなことない」

スタンプでごまかすか、流行りの曲の歌詞でも借りるか、そんなことばかり考えた。どこかで聞いたことのある正しい言葉を探そうとして、思いついた名言を検索してみた。でも、そんな都合のいい文は出てこなかった。

しばらくして、みずきからまたメッセージが来た。

「ごめんね今日は寝るね」

俺が最後に返したのは、クマが寝ているスタンプだった。

その後しばらく俺たちはメッセージを送り合わなかった。