星屑みたいな恋だった。

初戦に続き、二回戦と準々決勝、そして準決勝も、蒼陵学院は快勝した。

週明けの月曜日。

教室では土曜日の出来事を話す声がちらほら聞こえてきた。

「土曜日さ、野球部勝ったらしいよね」

「うん、ネットニュースで見た」

「やっぱり今年も強そうじゃない?」

そんな会話が耳に入る。

私は窓際の席に座りながら、何気なくその話を聞いていた。

一回戦の試合を見る前までなら気にも留めなかった話題なのに、今日は自然と耳を傾けてしまう。

「あ、花奈ちゃんって初戦のとき手伝い行ったんだよね?」

近くのクラスメイトが話しかけてきた。

「うん、行ったよ」

「どうだった?」

「結構忙しかった。でも、試合見れたから」

「いいなー。決勝見に行こうかな。

ゴールデンウィークだし」

「え!私も行きたーい」

そう話しているうちに授業開始のチャイムが鳴る。

「授業始まるぞー。席付けー」

担当の先生が教室にやってきて、呼びかける。

「やばっ。席戻らないと」

一時間、二時間目、三時間目と時間は流れていくが、ずっとどこか集中できずにいた。

「あ、もうそろそろチャイム鳴っちゃう。じゃあまたあとでね」

三時間目が終わってから話していた真帆が自分の席に戻っていく。

授業が始まってから、ふと校庭に目を向けた時、他クラスの男子がサッカーをやっているのが見えた。

そっか、男子は今サッカーやってるんだっけ。

高校に入学してからは、男子と女子で体育の授業を別々に受けることも多くなっていて、女子は今体育館を使ってバレーボールをやっている。

広いグラウンドでは、いくつかのグループに分かれて、それぞれが試合をしていた。

ボールを追いかける生徒たちや、シュートが決まった時の歓声が教室まで聞こえてくる。

何気なくその様子を眺めていると、一人の男子生徒が目に留まった。

長身で、周りの男子に声掛けながらグラウンドを走り回っている。

…あれ。

藤原くんだ。

土曜日に見たユニフォーム姿の彼とはまるで違う。

ジャージ姿で友達と笑いながらボールを追いかけるその姿は、ごく普通の高校生そのものだった。

「ナイス!」

明るい声が校庭に響く。

パスを受けた男子がゴールを決めると、藤原くんは満面の笑みを浮かべ、近くの友達とハイタッチを交わしていた。

試合中の真剣な表情もかっこよかったけれど、こうして無邪気に笑っている姿は、どこか親しみやすく見える。

野球だけじゃなくて、サッカーも上手なんだ。

そんなことを思いながら、気づけばまた目で追っていた。

「小宮ー」

先生の呼ぶ声が、教室に響く

「は、はい!」

慌てて返事をした。

「窓の外ばかり見てないで、ちゃんと授業に集中しなさい」

「すいません…」

小さく頭を下げながらノートへ視線を戻す。

それでも授業が終わるまでの間、グラウンドを走る藤原くんの姿が頭から離れなかった。