週が明け、月曜日。
朝の少し冷たい風を感じながら、私は最寄駅のホームへ向かう。
いつもの時間。
いつもの車両。
そして、
「花奈、おはよ!」
元気な声とともに、陽菜が現れた。
「おはよー」
その隣では、真帆が眠そうに小さく欠伸をしている。
「真帆、まだ眠いの?笑」
「…ちょっとだけ」
その言葉に、私と陽菜は思わず笑った。
陽菜と真帆は、小学校も中学校も一緒。
中学校で同じ吹奏楽部に入部したことをきっかけに二人と仲良くなり、高校でも同じ部活に入った。
毎朝こうして三人で登校するのが、いつの間にか当たり前になっていた。
ホームへ滑り込んできた電車に、三人で乗り込む。
窓の外を流れる景色をぼんやり眺めていると、不意に昨日の試合が頭に浮かんだ。
あの打球音。
歓声。
そして――。
「花奈?」
陽菜に名前を呼ばれ、私は顔を上げる。
「どうしたの?さっきから静かだけど。」
「え?ああ……ちょっと眠くて。」
とっさにそう答える。
まさか、昨日の試合を思い出していたなんて言えるはずがない。
「昨日結構疲れたもんねー」
陽菜は納得したように笑う。
「でも、手伝いに行ってよかったよね」
「うん」
真帆も静かに頷く。
「試合も面白かったし。」
「そうだね」
私も笑顔で返した。
本当に面白かった。
……いや。
正確には、試合だけじゃない。
気づけば、一人の選手ばかり見ていた。
そんな自分を思い出し、少しだけ頬が熱くなる。
「もうすぐ着くよ」
陽菜の声で顔を上げると、見慣れた駅名がアナウンスで流れていた。
電車を降りると、制服姿の高校生たちが改札へ向かって歩いていく。
「急がないとホームルーム間に合わないね」
「今日一本遅い電車にしたもんね。
やばい笑」
三人でそんな話をしながら学校へ向かう。
朝の通学路は、学校に近づくにつれ、同じ制服を着た生徒たちで賑わっていた。
「おはよ!」
「あ、おはよー!」
あちこちで友達同士が挨拶を交わし、自転車で校門へ向かう生徒もいれば、眠そうに目を擦りながら歩く生徒もいる。
そんな見慣れた朝の景色の中、私たちもゆっくり歩いていく。
「そういえば、今日って数学の小テストじゃなかった?」
陽菜が当然思い出したように言う。
「あ…忘れてた」
真帆が小さく肩を落とす。
「昨日は球場の手伝いで疲れちゃって、全然勉強してないよ」
「私も!」
陽菜が笑いながら手を挙げる。
「もうなるようになるって!」
「陽菜は毎回それ言ってるよね笑」
私がそう口にすると、三人で顔を見合わせて笑い合った。
こういう何気ない時間が、私は結構好きだ。
学校までの道を行きながら、他愛もない話をして、笑って。
毎日同じことの繰り返しだけど、それが当たり前で、心地いい。
校門が見えてくると、登校してくる生徒の姿もさらに増えてきた。
運動部らしい大きなスポーツバッグを背負った生徒たちも、月次々と校舎へ入っていく。
その中に、見覚えのある後ろ姿があった。
肩に野球部のバッグを掛け、数人の部員と笑いながら歩いている男子生徒。
昨日、球場で見たばかりのあの背中。
ーー藤原くんだ。
思わず目で追ってしまう。
すると、その時。
「花奈?」
「またぼーっとしてるよ?」
「えっ?
あ、ごめん。
昨日ちょっと疲れちゃって」
そう言って誤魔化したけれど、本当は違った。
昨日から何度も、あの人の姿が頭に浮かんでしまう。
その理由は、まだ自分でも分からなかった。
朝の少し冷たい風を感じながら、私は最寄駅のホームへ向かう。
いつもの時間。
いつもの車両。
そして、
「花奈、おはよ!」
元気な声とともに、陽菜が現れた。
「おはよー」
その隣では、真帆が眠そうに小さく欠伸をしている。
「真帆、まだ眠いの?笑」
「…ちょっとだけ」
その言葉に、私と陽菜は思わず笑った。
陽菜と真帆は、小学校も中学校も一緒。
中学校で同じ吹奏楽部に入部したことをきっかけに二人と仲良くなり、高校でも同じ部活に入った。
毎朝こうして三人で登校するのが、いつの間にか当たり前になっていた。
ホームへ滑り込んできた電車に、三人で乗り込む。
窓の外を流れる景色をぼんやり眺めていると、不意に昨日の試合が頭に浮かんだ。
あの打球音。
歓声。
そして――。
「花奈?」
陽菜に名前を呼ばれ、私は顔を上げる。
「どうしたの?さっきから静かだけど。」
「え?ああ……ちょっと眠くて。」
とっさにそう答える。
まさか、昨日の試合を思い出していたなんて言えるはずがない。
「昨日結構疲れたもんねー」
陽菜は納得したように笑う。
「でも、手伝いに行ってよかったよね」
「うん」
真帆も静かに頷く。
「試合も面白かったし。」
「そうだね」
私も笑顔で返した。
本当に面白かった。
……いや。
正確には、試合だけじゃない。
気づけば、一人の選手ばかり見ていた。
そんな自分を思い出し、少しだけ頬が熱くなる。
「もうすぐ着くよ」
陽菜の声で顔を上げると、見慣れた駅名がアナウンスで流れていた。
電車を降りると、制服姿の高校生たちが改札へ向かって歩いていく。
「急がないとホームルーム間に合わないね」
「今日一本遅い電車にしたもんね。
やばい笑」
三人でそんな話をしながら学校へ向かう。
朝の通学路は、学校に近づくにつれ、同じ制服を着た生徒たちで賑わっていた。
「おはよ!」
「あ、おはよー!」
あちこちで友達同士が挨拶を交わし、自転車で校門へ向かう生徒もいれば、眠そうに目を擦りながら歩く生徒もいる。
そんな見慣れた朝の景色の中、私たちもゆっくり歩いていく。
「そういえば、今日って数学の小テストじゃなかった?」
陽菜が当然思い出したように言う。
「あ…忘れてた」
真帆が小さく肩を落とす。
「昨日は球場の手伝いで疲れちゃって、全然勉強してないよ」
「私も!」
陽菜が笑いながら手を挙げる。
「もうなるようになるって!」
「陽菜は毎回それ言ってるよね笑」
私がそう口にすると、三人で顔を見合わせて笑い合った。
こういう何気ない時間が、私は結構好きだ。
学校までの道を行きながら、他愛もない話をして、笑って。
毎日同じことの繰り返しだけど、それが当たり前で、心地いい。
校門が見えてくると、登校してくる生徒の姿もさらに増えてきた。
運動部らしい大きなスポーツバッグを背負った生徒たちも、月次々と校舎へ入っていく。
その中に、見覚えのある後ろ姿があった。
肩に野球部のバッグを掛け、数人の部員と笑いながら歩いている男子生徒。
昨日、球場で見たばかりのあの背中。
ーー藤原くんだ。
思わず目で追ってしまう。
すると、その時。
「花奈?」
「またぼーっとしてるよ?」
「えっ?
あ、ごめん。
昨日ちょっと疲れちゃって」
そう言って誤魔化したけれど、本当は違った。
昨日から何度も、あの人の姿が頭に浮かんでしまう。
その理由は、まだ自分でも分からなかった。



