星屑みたいな恋だった。

攻守が入れ替わり、八回裏。

球場には、さっきまで以上の緊張感が漂っていた。

桜ヶ峰高校も簡単には引き下がらず、ランナーを出す場面もあった。

それでも蒼陵学院の守備は最後まで落ち着いていた。

ピンチのときは野手同士が声を掛け合い、一つずつアウトを重ねていく。

そして、二死走者なし。

あと一人。

初球はストライク、二球目はファウルと、あっという間に追い込む。

そして三球目。

打者が振り抜いた打球は、高く舞い上がった。

センターがゆっくりと落下点へ入り、グラブを掲げる。

一瞬の静寂。

ーーパシッ。

「アウト!」

球審の力強いコールとともに、試合が終わった。

蒼陵学院、春季大会優勝。

藤原くんを含めた蒼陵学院の選手たちは、みんな満面の笑みを浮かべていた。

私は拍手を送りながら、その光景を目に焼き付ける。

春の頂点に立った瞬間。

その笑顔は、今まで見たどの表情よりも輝いて見えた。

表彰式や閉会式が終わり、球場の外へ出る。

「よかったね。優勝できて」

陽菜が嬉しそうに笑う。

「最後までハラハラしたよ」

千尋が安心したように言った。

五人で球場を後にし、駅までの道をゆっくり歩く。

行きは試合への期待でいっぱいだった道も、帰りは優勝の余韻に包まれていた。

「東海大会楽しみだね」と陽菜が言うと、「もっと強い学校ばっかりなんでしょ?」と紬は少し不安そうな表情を浮かべる。

「でも、蒼陵学院なら勝てそうな気がする」

私は何も考えず、そう答えていた。

「花奈、最近は蒼陵学院の野球に興味津々だね」

千尋が笑う。

「えっ、そ、そうかな」

「うん。前だったら、こんなこと絶対言わなかったよ」

そう言われて、思わず苦笑する。

確かにそうだ。

少し前まで、野球はお父さんに連れられて見るものだった。

ルールは知っていても、自分から試合を見に行きたいと思うことはあまりなかった。

それなのに今は、次の試合が待ち遠しい。

電車に乗り込み、何気なく目を向けた窓の外には、少しずつ遠ざかっていく球場が見える。

今日、優勝を決めた瞬間の選手たちの笑顔が、私はずっと頭から離れなかった。