星屑みたいな恋だった。

場内アナウンスで、守備位置についた桜ヶ峰高校のスタメンが読み上げられていく。

「今日は先攻なんだね」

千尋が小さく呟いた。

私は頷きながらグラウンドを見つめる。

初戦とは違う。

球場の空気も、応援の熱も、全てが一段階大きくなっている気がした。

そして、先頭打者が打席に立ち、試合が始まった。

勝ち残った最後の二校の戦いというだけあり、七回まで両者無得点。

出塁はするものの、点に繋げられずにいた。

そうして迎えた八回表。

攻撃は、一番打者に戻ってきた。

相手投手はゆっくりと振りかぶり、第一球を投げ込む。

「ストライク!」

初球から力のあるストレート。

打席の先頭打者はタイミングを合わせきれなかった。

続く二球目は外角いっぱい。

ファウルで粘るものの、最後は低めの変化球にバットが空を切り、空振り三振。

一アウト。

「ナイスボール!」

相手ベンチから大きな声が飛ぶ。

二番打者は粘ってフルカウントまで持ち込んだが、最後はセカンドゴロ。

きっちりとさばかれ、ツーアウトになった。

初回から、お互い一歩も譲らない。

そんな緊張感が球場全体を包んでいた。

そして、打席には三番打者。

初球から積極的に振り抜いた打球は、一・二塁間を鋭く抜けていく。

「ナイスバッティング!」

蒼陵学院の応援席から歓声が上がった。

今日初めてのランナー。

一塁ベース上で三番打者は小さく拳を握る。

二死一塁。

ここで、四番の藤原くんに打順が回ってきた。

応援席の空気が一気に変わる。

「藤原ー!」

「一本!」

ベンチからも一段と大きな声援が送られる。

ゆっくりと打席へ向かった藤原くんは、一度だけ深呼吸をすると、静かにバットを構えた。

相手投手も大きく息を吐く。

球場中の視線が、次の一球へ集まっていた。