星屑みたいな恋だった。

翌日の昼休みも、私たちはいつものように五人で机を囲んでお弁当を食べていた。

「そういえばさ、」と、紬が卵焼きを頬張りながら口を開く。

「花奈のお父さんって野球詳しいんだよね?」

「うん。社会人野球までやってたみたい」

「え!そうなの?」

陽菜が目を丸くする。

「小さい頃から休みの日はよく球場に連れて行ってもらってた」

「いいなあ」

紬がが羨ましそうに言う。

「私なんてルールもこの前まで全然分からなかったよ

でも、この前試合見てたら少し分かるようになってきた」

真帆が言った。

「四番ってやっぱりすごい人がやるんでしょ?」

「うん」と、私は頷いた。

「チームの中心的打者だからね。チャンスで打席が回ってくることも多いし」

「だからあんなに応援されてたんだ」

陽菜が納得したように言う。

「そうそう」

「花奈先生!」

紬が少しふざけたように呼ぶ。

「また何かあったら解説お願いします」

「もーう」

思わず笑ってしまう。

みんなと野球の話をしていると、あっという間に昼休みの時間は過ぎていった。

今日もいつものように部活が終わり、昇降口へ向かっていると、廊下の窓から夕日に照らされたグラウンドが見えた。

「まだ練習してる」

真帆が立ち止まる。

視線の先では、野球部がランニングをしていた。

「きつそう…」

紬がそうつぶやく。

「大会中だからいつも以上に練習してるのかもね」

陽菜が言う。

私は黙ったまま、その様子を見つめていた。

前までは、「頑張ってるな」くらいにしか思わなかった。

でも、今は違う。

あの試合で見たプレーは、この毎日の積み重ねがあったからこそなんだ。

そう思うと、胸の奥が少し熱くなった。

その時だった。

ランニングを終えた選手たちが一斉に整列する。

少し離れているはずなのに、大きな声がここまで聞こえてきた。

「ありがとうございました!」

揃った声が校庭に響く。

「すごい。揃ってる」

真帆が小さくつぶやく。

私も静かに頷いた。

野球が好きだから、気になっている。

最初は、そう思っていた。

だけど、本当にそれだけなのだろうか。

最近は、気づいたら藤原くんの姿を探している。

そんな自分に少し戸惑いながら、私は窓の奥に広がるグラウンドから目を離した。