星が綺麗な夜だった。
夏の終わりを告げるような少し冷たい風が吹き、私はそっと空を見上げた。
無数の星が散らばる夜空。
その光を見つめるたび、思い出す人がいる。
もう何年も前のことなのに。
時間はちゃんと流れているはずなのに。
あなたのことだけは、あの日々のまま胸の奥に残っていた。
「…会いたいな」
小さく呟いた声は、夜風に溶けていく。
私は足を止め、近くのベンチに腰を下ろした。
ふと瞼を閉じれば、今でも鮮明に蘇る。
遠くから聞こえるバットの音。
白いユニフォーム。
日に焼けた腕。
汗を拭いながら笑う横顔。
そして、誰よりも野球が好きだったあなた。
あの頃の私は、何も知らなかった。
あなたの隣にいられなくなる日が来ることも、当たり前だと思っていた日々が終わることも考えず、眩しいほど真っ直ぐなあなたの背中を、ただ夢中で追いかけていた。



