不器用な彼女

夜になるとまた他愛のない内容のメッセージが続いた。
 昨日までと何も変わらない、まるでさっきのことなどなかったかのように、
もしかしたら夢なのか?と自分を疑うほどにいつもと変わらなかった。
 彼女が公園の事を触れて来ない以上、僕からも触れることは出来なかった。
 あの後しばらく公園のベンチに座りっぱなしだったが、母親からの
「あれ?バイト?」というメッセージで我に返り、自転車に跨がり帰ってくることができた。家についた頃、彼女からメッセージが来たのだ。
「やっほー、今家についたよ」猫のスタンプと共に送られてきたが、
いつも通りのメッセージだった。
 そして今夜も10時になり、「おやすみ」と伝えると向こうからも
「おやすみ」と送られてくる。
 スマホをベット脇に置き薄暗い部屋で真っ白な天井を見つめるが、流石に寝不足だったからだろうか、まぶたは重く目をつむると心地よく感じた。
 今日の出来事を反復して思い出すが、流石に寝ようと寝返りを打った瞬間ポンッと通知がなる。多分一弥だろうなと思い無視をしようとしたが、なんだかモヤモヤしたのでスマホを手に取り画面を見つめると彼女からのメッセージ受信を伝える通知だった。
 急いでアプリを開くとそこには「土曜日デートしない?」と送られてくる。
その後に続けざまに「お願い!」と吹き出しに書かれたかわいい猫のスタンプ
 デート?でもまあ、疑似でも恋愛だから必要なのかな?正直願ったり叶ったりだ。
 彼女のことを好きな人がいる。その人のことを彼女はよく思っていない。
 だから、僕が彼氏を演じることでその人に彼女のことを諦めてもらう。
 ただそんなことで僕を利用するのは申し訳ないから理由は秘密にしておく、
僕の予想ではまあこんなところだろうと思っている。
 なので、デートなんて出来るわけないだろうと思っていた。
 デートをしているところをその人に見せつけるのだろうか?
 土曜日はバイトだが、個人的にこのイベントに参加しないわけなはいかない。
 店長に申し訳ないが休ませてもらうことにする。
 僕は一度もバイトを休んだことはない。なんなら休んだ人間のかわりさえも何回も勤めている。
 それを担保に交渉すれば確実に休める。
 返信は店長に確認してから、確実に休みを取れたほうがいいと思ったが、既読をつけてしまっている以上無視するわけにもいかず、
「是非、お願いします。」と返す。
「ありがとう♪じゃあおやすみ」
「うん。おやすみ。」
 そのメッセージには既読がつかなかった。もう、寝てしまったのだろうか。
僕ももう限界だった、スマホを枕脇に置き、すぐに意識がなくなっていった。