黒瀬部長は部下を溺愛したい


(これって、恋人……だよね? 嘘みたい……)

「莉央、寝ないのか?」

 やっと気持ちが通じ合って……ドキドキもまだ止まらない……のに。

(寝るなんて……そんなの……)

 立ち上がった慧の手の袖をちょんと摘まんだ。

「……? どうした」
「あの……その…………ですか?」
「え、なに……? ごめん、聞こえなく……」

 慧の言葉を遮って、莉央は思いきり手首を掴んで引き寄せた。隣に戻ってきた慧に莉央は……。

「ほんとに……寝ちゃうんですか?」
「………」
「……なにも、しないんですか?」
 
 ふわっと空気が止まる。2人の間の温度が、急に上がったような気がした。

「……なぁ、それ、反則なんだけど」

 ちょっと目をそらして、耳まで赤くなってる慧。
 
(あっ……めっちゃ照れてる……かわいい……!)

 嬉しくなった莉央は、にこっと笑いそして……そっと、慧の頬にキスを落とす。やわらかく、ぬくもりのある、優しいキス。

「黒瀬部長……おやすみなさい」

 とろけそうな笑顔。そして莉央はくるんと背を向けた。

「……それはずるいだろ」

 もちろん慧は引きとめた。

「莉央、今の……わざと?」

 耳元で囁く声は、少しだけかすれてて、息が混じる。

「わざとって、何がですか」
「俺のこと、試してんのかと」
「違います!」
「そう、でも……そんな顔で、おやすみとか……寝る気ないくせに」

 すっ、と慧の目が細くなる。慧は莉央の腰に腕を回して自分の膝の上に乗せた……。

To be continued