黒瀬部長は部下を溺愛したい



 今日は会議室で遅くまでふたりで資料整理。莉央はこのチャンスを逃さないように「黒瀬部長って、好きな人とかいるんですか?」と軽く聞いた。そのつもりが……。

「……いるよ」

 少し間があいたが、しっかりと聞こえた。「いる」って。

「へ……へぇそうなんですか……」

 予想以上に落ち込む。

(そんなあっさりと答えるなんて……すっごく好き、なんだろうな)

 それ以上、言葉を紡げず結局最後までなにも話せずに帰宅となった。だが会社を出て少しした頃、ちょうど小雨が降ってきて……。

「え、うそ……」
「酷くなる前に急ごうか」
「はい」

 慧と小走りして駅に向かう途中、その雨は瞬く間に豪雨となった。

「これは……きついな。白石、こっち」

 手首を掴まれ建物の中に避難したが……。

「止まなさそうだな。白石、大丈夫か?」
「あ、はい……なんとか」

 と答えたがもう手遅れで。髪も服もずぶ濡れだった。

「大丈夫じゃないな。白石、緊急事態だから勘弁しろよ」

 そう言った慧は莉央の手を引きそのまま部屋へ入って行った。

(ここって、ラブホ……だよね。いやいや、雨をしのぐだけだから……!)

「ほら、先にシャワー浴びてこい」
「でも……」
「いいから、ほらタオル。風邪ひくだろ」
「それなら黒瀬部長だって……」
「なに、一緒に入っていいの?」
「っ!? それは……」
「ほら、いってこい」
「はい、ありがとうございます」

To be continued