2年生になってから一回目の試験が近づいてくる。僕らの高校は至って普通の高校だから、試験もそこまで難しくは無い。
普通に授業を聞いていれば赤点を取ることはまず無い。
そのはずなのに、涼花は去年から試験が近づく度に、頭を抱えていた。今年もその光景は変わらない。
「まじでテストというものを考えたのはどこの誰だよ! 絶対に許さない」
「普通にしてればテストなんて何も苦じゃないでしょ」
僕の発言に涼花はムッとする。
「勉強が出来る雅也さんには分からないですよねー。私みたいな"バカな"女の子の気持ちなんて」
「はいはい、今回も勉強教えてあげますよ」
僕は諦めてそう言う。試験の時は毎度毎度、僕が涼花に勉強を教えてあげていた。
それの影響もあり、涼花は赤点を回避することが出来ていた。
「やっぱり持つべきものは雅也だね! さすが!」
「調子がいいな……」
そんなやり取りをしていると、涼花の視線が僕から別の人物へ移る。
「聖真ってさ」
涼花が、何気なく口にする名前。
それは、僕じゃない。
「サッカーすごい上手いんだね」
「……うん、そうだね」
「なんかさ、走ってるところとかも見たけど、結構かっこよかった」
楽しそうに話す横顔。
その視線の先にいるのが、自分じゃないことくらい、さすがにわかる。
胸の奥で、小さな音がした。
壊れたわけじゃない。
でも、確実に何かが変わってしまった音。
「へえ、そうなんだ」
できるだけ何でもないふうに返す。
その言葉が、少しだけ遠くに聞こえた。
普通に授業を聞いていれば赤点を取ることはまず無い。
そのはずなのに、涼花は去年から試験が近づく度に、頭を抱えていた。今年もその光景は変わらない。
「まじでテストというものを考えたのはどこの誰だよ! 絶対に許さない」
「普通にしてればテストなんて何も苦じゃないでしょ」
僕の発言に涼花はムッとする。
「勉強が出来る雅也さんには分からないですよねー。私みたいな"バカな"女の子の気持ちなんて」
「はいはい、今回も勉強教えてあげますよ」
僕は諦めてそう言う。試験の時は毎度毎度、僕が涼花に勉強を教えてあげていた。
それの影響もあり、涼花は赤点を回避することが出来ていた。
「やっぱり持つべきものは雅也だね! さすが!」
「調子がいいな……」
そんなやり取りをしていると、涼花の視線が僕から別の人物へ移る。
「聖真ってさ」
涼花が、何気なく口にする名前。
それは、僕じゃない。
「サッカーすごい上手いんだね」
「……うん、そうだね」
「なんかさ、走ってるところとかも見たけど、結構かっこよかった」
楽しそうに話す横顔。
その視線の先にいるのが、自分じゃないことくらい、さすがにわかる。
胸の奥で、小さな音がした。
壊れたわけじゃない。
でも、確実に何かが変わってしまった音。
「へえ、そうなんだ」
できるだけ何でもないふうに返す。
その言葉が、少しだけ遠くに聞こえた。



