罪人令嬢は、二度目の人生でも幸せになれない~誰にも愛されていないと信じたまま、私はまた笑う~

国王陛下が、直々に……?そんなこと、前世の記憶には一欠片もなかった。

前世ではいつもの試験と同じく、ただ無機質な掲示板に成績が張り出され、それを皆が眺めるだけだったもの。

今回、国王陛下がこれほど大仰な祝宴を催す理由。

それは恐らく、ただ一つ。

前世とは違い、今回は正統な王族であり未来の皇太子であるカシリア殿下が首席を飾り、生徒会長の座に就かれたから。

殿下が栄誉を手にされたのだもの、盛大に祝うのは当然のこと。

その高揚感は理解できる。

けれど……今の私は、試験の最中に倒れ、無様な結果を残しただけの存在。

あの煌びやかな場所で、哀れみの視線に晒されるのだけは耐えられない。

「そ、そうですか……それは、素晴らしいですね……。ですが、申し訳ありません、父上。やはりまだ、体が言うことを聞かなくて……。祝賀会への出席は、叶いそうにありません。今回は、父上が私の代わりに参加してください」

「そ、そうか……」

父の言葉には、重たい澱おりのような躊躇いがあった。

まるで心ここにあらずといった、落ち着かない横顔。

父上の迷いは、痛いほどに想像がつく。

明日の祝宴に、エリナとミカレンを連れて行く大義名分を失い、困惑しているのでしょう。

でも、いつかは連れてくることになる。

それが明後日なのか、もっと先なのかは分からない。

きっと父上自身も、答えを出せずにいる。

その後、部屋に落ちた沈黙は、窒息しそうなほどに気まずいものだった。

そもそも父とは、初めから共通の言葉なんてなかったのだ。

学校の成績や、過去の些細な喜び、そして母上のこと以外、何を話せばいいのかも分からない。

会話の通わない父と娘。

そこにあるのは、家族団欒とは程遠い、冷えた空気だけ。

結局、昨日と同じようにロキナの手を借りて食事を喉に通した。

父上は夜更けまで付き添ってくれたけれど、やがて領地へと戻っていった。

カロリン医師によれば、投薬は今夜で終わり、明日からは少しずつ日常を取り戻せるという。

学院を挙げての祝賀会……さぞ華やかな宴になるのでしょうね。

せめて私が二位に食い込み、副会長になれていたなら、父上もあの場所で、私の名を誇らしく語れたのかしら。

そんな、今更どうにもならない泡沫うたかたのようなことを考えながら、私は静かに意識を手放した。