コリンダの指揮下にある五人の私兵が、音もなく息の合った動きで陣形を組み、敵集団の側面へと回り込む。
彼らの動きは個人の力任せではなく、集団で確実に敵を仕留めるための洗練されたものだった。
五本の剣が死角から正確に急所を突き、鮮血が土の上に撒き散らされた。
側面からの奇襲により、組織の兵士たちが築いていた堅固な包囲網が崩れ、中央部にわずかな隙間が生じる。
その隙を、エリナの黄金色の瞳が見逃さなかった。
彼女は手元の弩弓を邪魔だとばかりに地面へ投げ捨て、腰の鞘から二振りの剣を同時に引き抜く。
刃が空気を切り裂く冷たい音が鳴った。
「道が開いたな。行くぞ」
エリナは限界まで身を低くし、力強く地を蹴って、敵陣の最前線へと単独で突撃した。
彼女の背後から、長剣を構えたコリンダが遅れることなく続く。
彼の赤い瞳が、エリナの死角をしっかりとカバーしていた。
エリナの双剣が、前方から突き出された槍を軽く受け流し、そのままの勢いで敵の首筋を切り裂いた。
噴き出した血が彼女の頬当てを汚すが、その動きに少しの迷いも鈍りもない。
背後から振り下ろされた別の刃を、コリンダの長剣が甲高い音と共に弾き飛ばし、そのまま敵の胴体を両断する。
「前だけ見てろ。後ろは俺が刈り取る」
コリンダの低い声が、刃の交わる音を縫ってエリナの耳に届いた。
「言われなくても、わかってる」
事前の打ち合わせなど何もない。
ただ純粋な闘いへの本能と並外れた身体能力が、二人の息をぴたりと合わせていた。
エリナが身を屈めて敵の足元を払えば、コリンダが上段からの斬撃で頭部を砕く。
二つの圧倒的な暴力の渦が、組織の兵士たちを次々と斬り伏せ、蹂躙していく。
エリナの剣術は、騎士の誇りや型などを捨て去った、生き残るためだけの実戦の技術だ。
刃が紙一重で肌をかすめる恐怖にも動じず、彼女はただひたすらに敵の急所を狙い続ける。
その圧倒的な速さと正確さの前に、三十人という数の有利はもはや何の意味も持たなかった。
「ば、化け物……」
一人の兵士が震える声を漏らし、剣を取り落として後ずさる。
その明らかな恐怖が、周囲の兵士たちにも次々と伝染していった。
彼らの陣形は崩れ、防衛線があっけなく崩壊する。
しかし、エリナとコリンダの刃は、逃げようとする背中にも容赦なく振り下ろされた。
戦闘が始まって二十分と経たないうちに、広大な庭園の土は大量の血でぬかるみ、立っている敵は一人もいなくなった。
あとに残ったのは、木々が燃える音と、私兵たちの静かな息遣いだけだ。
「終わったな」
コリンダは長剣についた血を振り払い、鞘へ収めた。
エリナも双剣を納め、荒くなった息を整えながら、炎に包まれつつある荘園の建物を見据える。
「ああ。だが、中を調べないことには終われない。私兵たちに探させろ」
コリンダの指示で、五人の私兵が炎と煙を避けながら建物の中へと入っていく。
十数分後、私兵の一人が煤で汚れた姿で戻り、コリンダとエリナの前で片膝をついた。
「殿下、報告いたします。地下に広い施設がありましたが、中はもぬけの殻でした。重要な書類や資金は全て持ち去られています」
その報告を聞き、エリナの黄金色の瞳が少し細められた。
「……なるほど。表で俺たちと戦っていたあの三十人は、組織の幹部たちを逃がすための、単なる時間稼ぎの捨て駒だったというわけか」
コリンダが口角を上げ、嘲笑うように言った。
「いや、まだ間に合う。奴らには馬がないんだ!」
エリナは焦げた匂いのする空気を深く吸い込み、強く拳を握り締めた。
彼らの動きは個人の力任せではなく、集団で確実に敵を仕留めるための洗練されたものだった。
五本の剣が死角から正確に急所を突き、鮮血が土の上に撒き散らされた。
側面からの奇襲により、組織の兵士たちが築いていた堅固な包囲網が崩れ、中央部にわずかな隙間が生じる。
その隙を、エリナの黄金色の瞳が見逃さなかった。
彼女は手元の弩弓を邪魔だとばかりに地面へ投げ捨て、腰の鞘から二振りの剣を同時に引き抜く。
刃が空気を切り裂く冷たい音が鳴った。
「道が開いたな。行くぞ」
エリナは限界まで身を低くし、力強く地を蹴って、敵陣の最前線へと単独で突撃した。
彼女の背後から、長剣を構えたコリンダが遅れることなく続く。
彼の赤い瞳が、エリナの死角をしっかりとカバーしていた。
エリナの双剣が、前方から突き出された槍を軽く受け流し、そのままの勢いで敵の首筋を切り裂いた。
噴き出した血が彼女の頬当てを汚すが、その動きに少しの迷いも鈍りもない。
背後から振り下ろされた別の刃を、コリンダの長剣が甲高い音と共に弾き飛ばし、そのまま敵の胴体を両断する。
「前だけ見てろ。後ろは俺が刈り取る」
コリンダの低い声が、刃の交わる音を縫ってエリナの耳に届いた。
「言われなくても、わかってる」
事前の打ち合わせなど何もない。
ただ純粋な闘いへの本能と並外れた身体能力が、二人の息をぴたりと合わせていた。
エリナが身を屈めて敵の足元を払えば、コリンダが上段からの斬撃で頭部を砕く。
二つの圧倒的な暴力の渦が、組織の兵士たちを次々と斬り伏せ、蹂躙していく。
エリナの剣術は、騎士の誇りや型などを捨て去った、生き残るためだけの実戦の技術だ。
刃が紙一重で肌をかすめる恐怖にも動じず、彼女はただひたすらに敵の急所を狙い続ける。
その圧倒的な速さと正確さの前に、三十人という数の有利はもはや何の意味も持たなかった。
「ば、化け物……」
一人の兵士が震える声を漏らし、剣を取り落として後ずさる。
その明らかな恐怖が、周囲の兵士たちにも次々と伝染していった。
彼らの陣形は崩れ、防衛線があっけなく崩壊する。
しかし、エリナとコリンダの刃は、逃げようとする背中にも容赦なく振り下ろされた。
戦闘が始まって二十分と経たないうちに、広大な庭園の土は大量の血でぬかるみ、立っている敵は一人もいなくなった。
あとに残ったのは、木々が燃える音と、私兵たちの静かな息遣いだけだ。
「終わったな」
コリンダは長剣についた血を振り払い、鞘へ収めた。
エリナも双剣を納め、荒くなった息を整えながら、炎に包まれつつある荘園の建物を見据える。
「ああ。だが、中を調べないことには終われない。私兵たちに探させろ」
コリンダの指示で、五人の私兵が炎と煙を避けながら建物の中へと入っていく。
十数分後、私兵の一人が煤で汚れた姿で戻り、コリンダとエリナの前で片膝をついた。
「殿下、報告いたします。地下に広い施設がありましたが、中はもぬけの殻でした。重要な書類や資金は全て持ち去られています」
その報告を聞き、エリナの黄金色の瞳が少し細められた。
「……なるほど。表で俺たちと戦っていたあの三十人は、組織の幹部たちを逃がすための、単なる時間稼ぎの捨て駒だったというわけか」
コリンダが口角を上げ、嘲笑うように言った。
「いや、まだ間に合う。奴らには馬がないんだ!」
エリナは焦げた匂いのする空気を深く吸い込み、強く拳を握り締めた。
