罪人令嬢は、二度目の人生でも幸せになれない~誰にも愛されていないと信じたまま、私はまた笑う~

右腕を切り落とされた中年男が鮮血を吹き出し、激痛で悲鳴を上げるよりも早く、エリナは次の行動に移っていた。

コートの裏地に隠し持っていた二本の鋼のナイフを同時に引き抜くと、右足の強烈な蹴りで個室の木の扉を粉々に打ち砕く。

バキッと砕け散る木片と金属の音が店内に響き渡り、カウンターの奥にいる店長とテーブル席の客三人は、何が起きたのか全く理解できずに固まった。

エリナが勢いよく投げたナイフは、狙い違わず二人の男の鎖骨の下へと深々と突き刺さった。

ナイフが肉と骨に食い込む鈍い音とともに、二人の大きな体が木の床に崩れ落ちる。

残る一人が腰の短剣に手を伸ばすのを見るやいなや、エリナは床を強く蹴り出し、あっという間に距離を詰めた。

彼女の硬い右膝が男のみぞおちにクリーンヒットし、その強烈な一撃は一瞬で男の意識を刈り取った。

個室で男の腕を切り落としてから、店内にいる四人を完全に無力化するまで、ほんの数秒しかかからなかった。

しかし、そのすさまじい混乱を抜け出して、一番入り口に近かった最後の一人が扉を押し開け、外の路地へと逃げ出そうとした。

男が外にいる仲間に危険を知らせようと叫ぼうとした瞬間、死角から飛んできた鋭い刃が、彼の左胸のあたりにズブリと突き刺さる。

見事に計算された一撃の衝撃で、男の体は後ろに弾き飛ばされ、路地の冷たい石畳に激突した。

喉から漏れ出ようとした悲鳴は、彼の上に乗りかかった背の高い影によって無理やり塞がれる。

「声を出すのは許さないぜ」

コリンダの赤い瞳が、恐怖で引きつる男の顔を冷ややかに見下ろしていた。

彼は野性的な笑みを浮かべ、右手に握った別のナイフを男の頭へと近づける。

コリンダは男の胸に刺さった刃を乱暴に引き抜くと、血が噴き出すのも気にせず、その刃先で男の右耳を切り落とした。

焼け付くような激痛が男を襲うが、コリンダの強い左手が男の口をがっちりと塞いでいるため、声一つ漏れない。

「一人、逃がしかけたな、エリナ」

コリンダは血まみれの刃を振り払い、開け放たれた入り口から店内の惨状へと視線を向けた。

「はいはい、後でたっぷりお礼するよ。外にいた他の奴らはどうなった?」

エリナは足元で気絶している男をちらりと見ると、コートの袖で顔に飛んだ血を拭い去る。

彼女の黄色い瞳には、騎士学院で見せていたような純真な光はすでになく、ただ冷たく圧倒的な殺意だけが宿っていた。

「もちろん、全員捕まえたよ。オレの部下たちが裏路地で縛り上げてる。ただ、これだけの騒ぎだからな。間違いなく衛兵に通報しに行った奴がいるはずだ。時間はないぞ」

コリンダは片耳を失って痙攣している男の襟首を掴むと、乱暴に店内へと引きずり込んだ。

香ばしい茶葉の匂いが漂っていた空間は、今や強烈な血の匂いと濃密な死の気配にすっかり塗り替えられている。

エリナとコリンダは、右腕を失って個室の床でうめいている中年男のそばに並んで立った。

二人の服は大量の血で赤黒く汚れ、その姿はまるでこの世に現れた悪魔のようだった。

エリナの手には、先ほど男から渡された、リリスの絶望の証である羊皮紙が固く握りしめられている。

「さあ、少しでも命が惜しいなら、お前たちの組織の拠点がどこにあるか、正確な場所を答えな」

エリナの声には感情の揺れが一切なく、氷のように冷たかった。

コリンダもまた、血のしたたるナイフを男の左目のすぐ前で突きつけ、低い声で同調した。

「五秒以内に正解を言わなきゃ、次はお前の目玉をえぐって、脳みそを直接かき混ぜてやるよ」