罪人令嬢は、二度目の人生でも幸せになれない~誰にも愛されていないと信じたまま、私はまた笑う~

「ならば、オレの女になれ」

コリンダの低い声に対して、エリナは眉一つ動かさず、むしろ口角を上げてニヤリと笑った。

彼女は腕を組み、強気な視線で目の前の王子を見つめる。

資材置き場に吹き抜ける風が、二人の髪をバサバサと荒っぽく揺らした。

普通なら顔を赤くするか、馬鹿にされたと思って剣を抜く場面だろう。

けれど、今のエリナにあるのは、ギリギリの焦りと、それを上回るほどの覚悟だけだった。

「……はっ。相変わらず、アンタは告白のタイミングが最悪だぜ」

エリナは鼻で笑い、一歩前に踏み出した。

その瞳には、かつて試合で見せた戦士の輝きが宿っていた。

「いいだろう。……くれてやるよ、私の人生くらい」

彼女はコリンダの胸倉を掴み、ぐいっと強引に引き寄せた。

「その代わり、タロシア公爵家の婿になるんだ。……アンタみたいな荒くれ者が、堅苦しい公爵家に入る心の準備はできたかい?」

それは受け入れる返事であると同時に、相手への挑戦状でもあった。

自分を安売りするのではなく、相手を自分のペースに巻き込んでいく。

エリナ・タロシアという女の、いざという時の度胸の良さだった。

コリンダは一瞬だけキョトンとした顔を見せたが、次の瞬間、お腹の底から吹き出すように大笑いした。

「くはっ、あはははは! 最高だ、お前は本当に最高だよ、エリナ!」

彼はエリナの手を掴み、逆にぎゅっと抱き寄せた。

その腕には、獲物を逃がさない猛獣のような力がこもっている。

「もともと帝国の捨て駒として送り込まれたこのオレに、敵国の公爵家を乗っ取らせようとはな。……傑作だ」

コリンダの赤い瞳が、ゾクゾクするような喜びで歪む。

「いいだろう。……その狂った提案、乗った。オレがお前の夫となり、タロシア家を輝かせて見せる」

彼はエリナの耳元で、甘くて危険な声で囁いた。

「だがその前に、まずはお前の悩みの種を消してやるとしようか。……オレの『花嫁』を脅すバカがどこのどいつか知らんが、生まれてきたことを後悔させてやる」