厚手のカーテンの隙間から、薄い金色の朝日が療養室の床に差し込んでいる。
私はシーツの温もりと、隣から伝わる規則的な寝息で目を覚ました。
ゆっくりと目を開けると、すぐ目の前にカシリア殿下の顔があった。
彼の目が、すでに開かれた状態で私をじっと見つめている。
「おはよう、リリス。今日、体の調子はどうだ」
彼の声は低く、そして驚くほど穏やかな響きを持っていた。
「……はい、今日は……」
私はどうにか声を出して、普通に答えようとした。
しかし、寝ぼけていた意識が一気にハッキリし始める。
肌に直接触れるシーツの感触。
私が今、何も着ていないということ。
そして、昨夜の暗がりの中で交わされた、彼との激しく甘やかな情事の記憶が、頭の奥から熱を帯びて蘇ってきた。
「きゃっ!?」
思わず甲高い悲鳴が漏れる。
私は反射的に両腕を伸ばし、厚い布団を頭の先まで引き上げた。
視界が暗闇に覆われるが、顔がカッと熱くなり、血が上っていく感覚を抑えることはできない。
布団の中で、私の心臓がドクドクと激しく鳴り始める。
ただの逢瀬ではない。
私が、初めてすべてを彼に委ねた夜。
触れられるたびに、自分の内側が壊れていくような感覚と、同時に満たされていく奇妙な幸福。
知らなかった痛みと、知らなかった悦び。
そのすべてを、彼は一つ残らず刻み込んできた。
「ご、ごめんなさい、わ、わ、わ、私は……っ」
公爵令嬢として、そして婚約者として、これほど恥ずかしくて醜態を晒すようなことはない。
私が彼におねだりしたこと、そして彼から与えられた圧倒的な快楽。
それらの記憶が頭の中を埋め尽くし、言葉がまったく出てこなくなる。
恥ずかしさのあまり頭の中が真っ白になり、舌がもつれてまともに言葉を紡げない。
「ぷっ……ハハハッ」
布団の外から、カシリア殿下の朗らかな笑い声が聞こえた。
彼がお腹の底から、これほど無防備に笑うのを聞いたのは、今までで初めてだった。
布団の端が外側からゆっくりと引かれ、私の視界に再びカシリア殿下の顔が見えた。
彼の口角は大きく上がり、瞳には深い愛情とほんの少しの悪戯っぽさが混ざっている。
「リリスは、昨日も今日も、すごく可愛いな」
彼の発した『可愛い』という言葉が、耳の奥から脳まで直接揺さぶってくる。
私は両手で顔を覆い、指の隙間から彼を見返した。
「で、殿下……からかわないでください……っ」
カシリア殿下は私の首の横に両腕をつき、その顔を私の顔へと近づけた。
「からかってなどいない。オレは事実を口にしただけだ」
彼の高い体温が、布団越しに私の体へと伝わってくる。
殿下は片手を伸ばし、私の顔を覆っていた両手を優しくどけた。
彼の長い指が、私の熱を持った頬を撫でる。
「体は痛まないか。昨夜は、オレも少し……余裕がなかったからな」
彼の言葉に、顔がまた熱くなる。
「い、痛みは……少しあります。それと少し……体が重い、ですわ」
私は視線を彼の胸元へと逸らし、掠れた声で答えた。
薬が切れたときのあの恐ろしい苦痛と恐怖は、今の私にはすっかり消え去っている。
彼と過ごしたことによる心地よい疲れと、絶対的な安心感だけがする。
カシリア殿下は私の桜色の髪に顔を埋め、深く息を吸い込んだ。
「そうか。なら、今日は一日、この寝台の上で休んでいなさい」
「ですが、書類の整理が……」
「オレがやる。リリスは、ただオレの腕の中で息をしていればいい」
彼の腕が私の腰に回り、私を彼自身の体へと引き寄せる。
引き締まった筋肉とがっしりとした骨格の感触が、私に彼の存在を強く感じさせる。
「……殿下は、本当に……甘やかしてばかりです」
私は彼の胸板に額を押し当て、小さな声で呟いた。
「当然だ。君はオレのものだ。」
カシリア殿下の言葉には、揺るぎない独占欲が込められている。
私は彼に全てを委ね、彼の与える熱と愛情に包まれて生きている。
「はい……私は、殿下のものです」
私の両腕が彼の背中へと回り、その服の生地を軽く握りしめた。
カシリア殿下は私の後頭部を撫で、静かに頷く。
「ああ。ずっと、ここにいてくれ」
窓の外の光が徐々に強さを増し、療養室内の空気を暖めていく。
私はシーツの温もりと、隣から伝わる規則的な寝息で目を覚ました。
ゆっくりと目を開けると、すぐ目の前にカシリア殿下の顔があった。
彼の目が、すでに開かれた状態で私をじっと見つめている。
「おはよう、リリス。今日、体の調子はどうだ」
彼の声は低く、そして驚くほど穏やかな響きを持っていた。
「……はい、今日は……」
私はどうにか声を出して、普通に答えようとした。
しかし、寝ぼけていた意識が一気にハッキリし始める。
肌に直接触れるシーツの感触。
私が今、何も着ていないということ。
そして、昨夜の暗がりの中で交わされた、彼との激しく甘やかな情事の記憶が、頭の奥から熱を帯びて蘇ってきた。
「きゃっ!?」
思わず甲高い悲鳴が漏れる。
私は反射的に両腕を伸ばし、厚い布団を頭の先まで引き上げた。
視界が暗闇に覆われるが、顔がカッと熱くなり、血が上っていく感覚を抑えることはできない。
布団の中で、私の心臓がドクドクと激しく鳴り始める。
ただの逢瀬ではない。
私が、初めてすべてを彼に委ねた夜。
触れられるたびに、自分の内側が壊れていくような感覚と、同時に満たされていく奇妙な幸福。
知らなかった痛みと、知らなかった悦び。
そのすべてを、彼は一つ残らず刻み込んできた。
「ご、ごめんなさい、わ、わ、わ、私は……っ」
公爵令嬢として、そして婚約者として、これほど恥ずかしくて醜態を晒すようなことはない。
私が彼におねだりしたこと、そして彼から与えられた圧倒的な快楽。
それらの記憶が頭の中を埋め尽くし、言葉がまったく出てこなくなる。
恥ずかしさのあまり頭の中が真っ白になり、舌がもつれてまともに言葉を紡げない。
「ぷっ……ハハハッ」
布団の外から、カシリア殿下の朗らかな笑い声が聞こえた。
彼がお腹の底から、これほど無防備に笑うのを聞いたのは、今までで初めてだった。
布団の端が外側からゆっくりと引かれ、私の視界に再びカシリア殿下の顔が見えた。
彼の口角は大きく上がり、瞳には深い愛情とほんの少しの悪戯っぽさが混ざっている。
「リリスは、昨日も今日も、すごく可愛いな」
彼の発した『可愛い』という言葉が、耳の奥から脳まで直接揺さぶってくる。
私は両手で顔を覆い、指の隙間から彼を見返した。
「で、殿下……からかわないでください……っ」
カシリア殿下は私の首の横に両腕をつき、その顔を私の顔へと近づけた。
「からかってなどいない。オレは事実を口にしただけだ」
彼の高い体温が、布団越しに私の体へと伝わってくる。
殿下は片手を伸ばし、私の顔を覆っていた両手を優しくどけた。
彼の長い指が、私の熱を持った頬を撫でる。
「体は痛まないか。昨夜は、オレも少し……余裕がなかったからな」
彼の言葉に、顔がまた熱くなる。
「い、痛みは……少しあります。それと少し……体が重い、ですわ」
私は視線を彼の胸元へと逸らし、掠れた声で答えた。
薬が切れたときのあの恐ろしい苦痛と恐怖は、今の私にはすっかり消え去っている。
彼と過ごしたことによる心地よい疲れと、絶対的な安心感だけがする。
カシリア殿下は私の桜色の髪に顔を埋め、深く息を吸い込んだ。
「そうか。なら、今日は一日、この寝台の上で休んでいなさい」
「ですが、書類の整理が……」
「オレがやる。リリスは、ただオレの腕の中で息をしていればいい」
彼の腕が私の腰に回り、私を彼自身の体へと引き寄せる。
引き締まった筋肉とがっしりとした骨格の感触が、私に彼の存在を強く感じさせる。
「……殿下は、本当に……甘やかしてばかりです」
私は彼の胸板に額を押し当て、小さな声で呟いた。
「当然だ。君はオレのものだ。」
カシリア殿下の言葉には、揺るぎない独占欲が込められている。
私は彼に全てを委ね、彼の与える熱と愛情に包まれて生きている。
「はい……私は、殿下のものです」
私の両腕が彼の背中へと回り、その服の生地を軽く握りしめた。
カシリア殿下は私の後頭部を撫で、静かに頷く。
「ああ。ずっと、ここにいてくれ」
窓の外の光が徐々に強さを増し、療養室内の空気を暖めていく。
