悪姫入内 蟲愛づる姫と毒好む帝

蝶(てふ)めづる姫君の住み給ふかたはらに、按察使(あぜち)の大納言の御むすめ、心にくゝなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふ事かぎりなし。
この姫君のの給ふ事、「人々の花蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。人はまことあり、本地(ほんち)たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」とて、よろづの蟲のおそろしげなるをとり集めて、これが成らむさまを見むとて、さまざまなる籠箱(こばこ)どもに入れさせ給ふ。


       堤中納言物語