冷酷無情な射手の吸血鬼に救われた、人として生きることを諦めた娘

 壊滅させた張本人であることは伏せ、ヴォーグは相槌を打つ。
「あそこは閉鎖的ってだけじゃなく、差別も激しい地域だったからな。軍としては膿を出してくれたその誰かに、感謝してるかも」
「……そうか」
 ヴォーグは会話を打ち切り、司令部に呼び出されたため、キューリとともに向かった。

 元帥が待っていた。
 二人が敬礼をすると、元帥がうなずく。
「二人にいってほしいところがある。この国の北の外れにある集落にいる者達全員を、始末してほしい。暴徒化は避けたい」
「分かりました!」
「ヴォーグ准将。初仕事だが、頑張って励むように」
「はっ!」
 元帥は微笑んで司令部を出ていった。

「そうと決まれば出発だな」
「道案内は任せておいて。一応武装していくけど」
「頼む」
 そんな会話をして、二人は司令部を出た。
 目的地までは近いそうなので、二人で歩いていくことに。

 他愛のない話をしているうちに、目的地に到着。誰もが寝静まった夜である。
 キューリには物陰に隠れて、見ているように言った。
 ヴォーグは先陣を切って集落に入ると、そこにいた人間を一方的に殺し始めた。
 家の中は後回しにして、集落の外を。
 無情な発砲音と、怒号、(むせ)び泣く声を聞きながら、ヴォーグは手を一切止めなかった。
「何事じゃ!」
 そこに異変に気付いた、長が姿を見せる。
「軍の決定事項だ。悪いがここで、全員死んでもらう」
「軍が決めただけじゃろう? それでも我らは生きて戦うのみ!」
 長は腰から剣を抜いて、ヴォーグに斬りかかってきた。
 その攻撃をあえて受ける。腹を横一文字に斬り裂かれて、口端から鮮血が滴り落ちる。
 ヴォーグは、口端を吊り上げて嗤う。
「なっ!」
 それを見た長の顔から、血の気が失せる。
「この程度の傷、大したことはない」
 気を取られているのが分かったヴォーグは、面倒だったので長の心臓を撃ち抜く。
「皆……!」
 最後の(めい)など言わせまいと、ヴォーグは長の喉を撃って声を封じた。

 その様子を見ていた、集落の全員が殺気立つ。
「上等だ。かかってこいよ」
 ヴォーグの前に四人が立ちはだかり、一斉に襲い掛かってくる。
 四つの発砲音が響く。
 それぞれ右肩を撃ち抜かれ、焼けるような痛みに悲鳴を上げる。
 痛みに喘いでいる隙をついたヴォーグは、四つの頭を撃ち抜いた。
 腹からダラダラと鮮血を滴らせながら、ヴォーグは集落の外にいる人間をもれなく殺し尽くした。
「残るは家の中か……」
 呟いたヴォーグは足でドアを蹴破って、怯えまくっている人間全員を殺して回った。
 命乞いも、代わりに自分を殺してくれという声も、すべて聞かず、ただただ、命を奪い続けた。
 作戦を開始してから二時間程度で、すべてが終わった。