見つめ返しながら、優月は思ったままを口にする。
「とっても美しい」
ヴォーグは目を瞠る。
「美しい……? お前はこの見た目を、忌み嫌わないのか……?」
「美しいわ。嫌うわけないでしょう。あなたは、あの地獄からあたしを救い出してくれた。命の恩人を見た目だけで嫌うだなんて、できない。見た目だけで人を判断するのは、間違ってる」
優月はきっぱりと言った。
「くくく」
その様子を見たヴォーグは、肩を震わせて低い声で呟く。
「え、え、え?」
きょとんとした優月は、あ、この人は笑っているのかと、気づく。
低い声で笑い続けたヴォーグは、笑いをおさめて言う。
「それは、俺が一番欲しかった言葉だ」
「え……?」
優月は困惑する。
「今宵はもう遅い。また明日、話そう」
「おやすみなさい」
薄く笑みを浮かべたヴォーグにうなずいた優月は、ふかふかのベッドに横たわる。
お腹を冷やさないように掛布団をかけ、足は出したままで。
疲れていたのだろう、すぐに意識を手離した。
寝息を立て始めた優月を見ながら、ヴォーグは燭台の火を消し、音もなく部屋を出た。
翌朝、足の痛みで目を覚ました優月は、文字通り飛び起きた。
誰かの怒鳴り声を、聞いた気がしたのだ。
気のせいだったらしく、ふうっと息を吐き出す。
「起きたか」
そこへヴォーグが顔を出す。
真っ黒な服を着ていた。
「おはよ」
優月はぎょっとした顔をしつつ、挨拶をした。
「なんで飛び起きたんだ?」
「見てたんだ……」
優月は恥ずかしそうに、顔を赤くする。
「まあな」
ヴォーグは苦笑する。
「昔のことだと思うけど。怒鳴り声が聞こえた気がして、驚いて起きちゃった」
優月は素直に言う。
「そうか。……改めて自己紹介をしよう。俺はヴォーグ・ホーエンツォル。ヴォーグでいい」
「あたしは優月」
二人で頭を下げ合ったので、顔を見合わせて苦笑した。
「なあ、〝射手の神〟って知っているか?」
「ものすごく怖いって噂しか知らないよ」
「まあいい。ちょっと待ってろ」
足早に立ち去ったヴォーグに、優月は首をかしげることしかできなかった。
「待たせたな」
きょとんとする優月に苦笑したヴォーグが戻ってくる。ロングコートを片手に持っている。
「なに?」
「俺が〝射手の神〟だよ。その証拠と言ってはなんだが」
ヴォーグは言いながら、リヴォルバー二挺と背中に背負っていたライフルを見せる。
黒と銀色の回転式拳銃が二挺と、黒のライフルが一挺。
「この国ではまだ珍しい部類に入るが、最新式の鉄砲を三種類持っている、という解釈で構わん」
「そういうことね」
優月はうなずく。
「ああ、すっかり忘れていた。次からはカーテンをしておかねば」
「この布のこと?」
ベッドの脇についていたカーテンに触れて、優月が首をかしげる。
「とっても美しい」
ヴォーグは目を瞠る。
「美しい……? お前はこの見た目を、忌み嫌わないのか……?」
「美しいわ。嫌うわけないでしょう。あなたは、あの地獄からあたしを救い出してくれた。命の恩人を見た目だけで嫌うだなんて、できない。見た目だけで人を判断するのは、間違ってる」
優月はきっぱりと言った。
「くくく」
その様子を見たヴォーグは、肩を震わせて低い声で呟く。
「え、え、え?」
きょとんとした優月は、あ、この人は笑っているのかと、気づく。
低い声で笑い続けたヴォーグは、笑いをおさめて言う。
「それは、俺が一番欲しかった言葉だ」
「え……?」
優月は困惑する。
「今宵はもう遅い。また明日、話そう」
「おやすみなさい」
薄く笑みを浮かべたヴォーグにうなずいた優月は、ふかふかのベッドに横たわる。
お腹を冷やさないように掛布団をかけ、足は出したままで。
疲れていたのだろう、すぐに意識を手離した。
寝息を立て始めた優月を見ながら、ヴォーグは燭台の火を消し、音もなく部屋を出た。
翌朝、足の痛みで目を覚ました優月は、文字通り飛び起きた。
誰かの怒鳴り声を、聞いた気がしたのだ。
気のせいだったらしく、ふうっと息を吐き出す。
「起きたか」
そこへヴォーグが顔を出す。
真っ黒な服を着ていた。
「おはよ」
優月はぎょっとした顔をしつつ、挨拶をした。
「なんで飛び起きたんだ?」
「見てたんだ……」
優月は恥ずかしそうに、顔を赤くする。
「まあな」
ヴォーグは苦笑する。
「昔のことだと思うけど。怒鳴り声が聞こえた気がして、驚いて起きちゃった」
優月は素直に言う。
「そうか。……改めて自己紹介をしよう。俺はヴォーグ・ホーエンツォル。ヴォーグでいい」
「あたしは優月」
二人で頭を下げ合ったので、顔を見合わせて苦笑した。
「なあ、〝射手の神〟って知っているか?」
「ものすごく怖いって噂しか知らないよ」
「まあいい。ちょっと待ってろ」
足早に立ち去ったヴォーグに、優月は首をかしげることしかできなかった。
「待たせたな」
きょとんとする優月に苦笑したヴォーグが戻ってくる。ロングコートを片手に持っている。
「なに?」
「俺が〝射手の神〟だよ。その証拠と言ってはなんだが」
ヴォーグは言いながら、リヴォルバー二挺と背中に背負っていたライフルを見せる。
黒と銀色の回転式拳銃が二挺と、黒のライフルが一挺。
「この国ではまだ珍しい部類に入るが、最新式の鉄砲を三種類持っている、という解釈で構わん」
「そういうことね」
優月はうなずく。
「ああ、すっかり忘れていた。次からはカーテンをしておかねば」
「この布のこと?」
ベッドの脇についていたカーテンに触れて、優月が首をかしげる。
