その様子を見ていたヴォーグは、スコープを覗き込んで、ミューリの背後に立った男の首を撃ち抜く。
ミューリはもう一人をあっさり射殺し、笑顔を見せる。
「最高の、タイミングだったよ」
「それはどうも」
「麓の町にいってみよう。嫌な予感がする」
表情を切り替えたミューリに、ヴォーグはうなずいた。
麓の町に様子を見た二人は唖然とする。
町人全員が武装をしており、臨戦態勢を取っていた。
「目標の家を消失! しかし対象者は不在!」
さながら、ひとつの軍のように見えた。
「探せ! 男と女を殺すのだ!」
報告をした男は、敬礼をして去った。
「ヴォーグ。いいかい? よくお聞き。……この地獄から、なんとしてでも、生き延びて」
「なに? 待ってくれ!」
ミューリはその言葉だけを告げると、敵の只中へ突っ込んでいってしまった。
ヴォーグは悔しそうな顔をして、援護射撃を始めた。
まるで、まるで。お別れの言葉に聞こえたから。
ヴォーグは最悪の事態を回避するべく、引き金を引き続けた。
ミューリから視線を離さず、少しでも生き残って笑える未来を掴むために。
ミューリは前線で戦いながら、ヴォーグの射撃センスの良さに、満足していた。
――この腕なら、私がいなくても、生きていけるよ。それにしても、強くなったねぇ。
ミューリはヴォーグがこっそり鍛錬しているのを、知らぬフリをしていた。
ある日森に出向いたら、象徴とも言える巨大な岩がボロボロに崩れているのを見て、素手で壊し続けたのだろうと察した。
あれだけの力があるのだから、独りでもやっていける。
――私はここで死んでもいい。けれど、あの子だけは生かさなくては。
その一念だけで、ミューリは動き続けていた。
敵は飛び道具を、一切使っていなかった。まるで弓矢ですらも、使うことを躊躇っているように思えた。
身体があちこち、焼けるように痛む。
つい庇ってしまうのを忌々しく思いながら、ミューリは動く。最後の見取稽古のつもりで。
ヴォーグはそんなミューリの背中を見ながら、次々に頭数を減らそうと試みる。しかし、虫のように湧いてくるため、キリがなかった。ここからでは、指示を飛ばしている者の息の根を止めるには、いかんせん遠い。
ヴォーグはミューリの周りの男達に狙いを定め、引き金を引き続けた。
そんな援護射撃も空しく、ミューリの周りには無傷の男達がずらりと並ぶ。
指示を出している男が叫ぶ。
「たった二人になにができる! この数に絶望したか?」
「まったく、知恵の回らない男だね。これだけ揃えるのにかなりの金を使ったと見ていい?」
「あの怪物を殺すには、必要な金だった!」
「ふざけるんじゃないよ!」
怒号にビクッと、男の身体が跳ねる。
ミューリはもう一人をあっさり射殺し、笑顔を見せる。
「最高の、タイミングだったよ」
「それはどうも」
「麓の町にいってみよう。嫌な予感がする」
表情を切り替えたミューリに、ヴォーグはうなずいた。
麓の町に様子を見た二人は唖然とする。
町人全員が武装をしており、臨戦態勢を取っていた。
「目標の家を消失! しかし対象者は不在!」
さながら、ひとつの軍のように見えた。
「探せ! 男と女を殺すのだ!」
報告をした男は、敬礼をして去った。
「ヴォーグ。いいかい? よくお聞き。……この地獄から、なんとしてでも、生き延びて」
「なに? 待ってくれ!」
ミューリはその言葉だけを告げると、敵の只中へ突っ込んでいってしまった。
ヴォーグは悔しそうな顔をして、援護射撃を始めた。
まるで、まるで。お別れの言葉に聞こえたから。
ヴォーグは最悪の事態を回避するべく、引き金を引き続けた。
ミューリから視線を離さず、少しでも生き残って笑える未来を掴むために。
ミューリは前線で戦いながら、ヴォーグの射撃センスの良さに、満足していた。
――この腕なら、私がいなくても、生きていけるよ。それにしても、強くなったねぇ。
ミューリはヴォーグがこっそり鍛錬しているのを、知らぬフリをしていた。
ある日森に出向いたら、象徴とも言える巨大な岩がボロボロに崩れているのを見て、素手で壊し続けたのだろうと察した。
あれだけの力があるのだから、独りでもやっていける。
――私はここで死んでもいい。けれど、あの子だけは生かさなくては。
その一念だけで、ミューリは動き続けていた。
敵は飛び道具を、一切使っていなかった。まるで弓矢ですらも、使うことを躊躇っているように思えた。
身体があちこち、焼けるように痛む。
つい庇ってしまうのを忌々しく思いながら、ミューリは動く。最後の見取稽古のつもりで。
ヴォーグはそんなミューリの背中を見ながら、次々に頭数を減らそうと試みる。しかし、虫のように湧いてくるため、キリがなかった。ここからでは、指示を飛ばしている者の息の根を止めるには、いかんせん遠い。
ヴォーグはミューリの周りの男達に狙いを定め、引き金を引き続けた。
そんな援護射撃も空しく、ミューリの周りには無傷の男達がずらりと並ぶ。
指示を出している男が叫ぶ。
「たった二人になにができる! この数に絶望したか?」
「まったく、知恵の回らない男だね。これだけ揃えるのにかなりの金を使ったと見ていい?」
「あの怪物を殺すには、必要な金だった!」
「ふざけるんじゃないよ!」
怒号にビクッと、男の身体が跳ねる。
