冷酷無情な射手の吸血鬼に救われた、人として生きることを諦めた娘

 数日でリヴォルバーの扱いをマスターしたヴォーグは〝オマケ〟と称してライフルの扱い方も覚えることに。
 ミューリ曰く、覚えておいて損はないと言われたためである。
 これも数日で覚え、ミューリからこれで教えることはないよ、との言葉をもらう。
「ありがとう」
 ヴォーグは精いっぱいの感謝を込めて、告げた。
「いいよ」
 ふふふと、ミューリが笑った。

 翌日、ミューリとともに町外れまで出向いた。
 そこには変わり者と称される、武器商人がいるらしい。
「入るよー」
「おう、連れなんて珍しいな」
 七十歳くらいの男が、低い声で言う。
「この子は例の……」
「ヴォーグという」
「なかなかに、いい顔つきじゃねぇか。しかも、美形ときた」
 かかかかと、変わった笑い方をする。
「武器商人のザノってもんだ。よろしくな」
 ザノの言葉を聞いた、ヴォーグは会釈をする。
「新しいリヴォルバー二挺とライフルを一挺、頼めるかしら?」
「そりゃえらいまた、太っ腹だな」
 ザノが目を丸くする。
「この子が生き残れる武器を、頂戴」
「おう、分かった。それなら……」
 ザノはガサガサと、箱の中を探し始める。
「緊張しないでいいのに」
「バレたか」
 ヴォーグはつい苦笑する。
「黒と銀の回転式のリヴォルバーと、黒のライフル! これでどうだ!」
 テーブルに置かれた三挺の銃器を、ミューリはじっくりと手に取って眺める。
「私はいいと思うけど、ヴォーグ、触ってみて?」
 ヴォーグは慣れた手つきで、それらに触れて確認していく。
「これらが一番しっくりきそうだ」
 少し笑みを浮かべて、ヴォーグが言う。
「決まりね。えーと、これくらいで足りる?」
 ミューリはテーブルに、金貨の山を置いた。
「こんなにはもらえないな。半分でいい」
 ザノは金貨の山からちょうど半分だけもらい、残りを袋に押し込んできた。
「そう。じゃあ、弾丸も手に入ったし、帰ろうか」
「また」
 ヴォーグの言葉にザノが笑顔を見せた。

「いい人だった」
「あそこの武器はかなり質がいいのよ。私もお気に入りでね」
 ニコリとミューリが微笑んだ。
 そろそろ家が見えてきたが、誰かがいることに気づいて、二人は警戒する。
「誰だ? あいつ」
「麓の小さな町の兵士だね」
 家からもう一人が出てきて、家に火を放った。
 モクモクと煙を上げて焼け落ちる家を見ながら、ヴォーグはショックを受けた。
「ヴォーグ! しっかりして、戦うよ!」
 ミューリが声を張ると、ヴォーグは現実に引き戻される。慌ててライフルを構えて狙いを定める。
 その間に、ミューリは兵らの視線を、惹きつけに動く。
「余計な真似をしてくれたね! あんた達!」
 ミューリは怒りをあらわにしつつ、兵らと交戦を始める。