「せっかくだし、私が知ってることを話しておこうか。いい機会だし」
「なにを知ってるって言うんだ?」
ヴォーグは目を丸くして尋ねる。
「ヴォーグ、あんたは人間じゃない。それについてはなんとなく分かってたんだろ?」
真剣な目に射抜かれた、ヴォーグは目を見開く。
「それは分かっていた。そもそも生きるために血が必要とか、俺はいったい何者なのかと思っていた」
「あんたは、吸血鬼だ。その中でも強い力を持つ純血種。一滴も人間の血が混じっていないってこと」
「吸血鬼、なのか。俺は」
「そうだよ。吸血鬼の住む小さい国がこの近くにあったのだけれど、人間の兵の大量投入によって、滅ぼされた。その国の実験体として生を受けた。日光は克服できないまでも、純血種でありながら、人間に近い見た目の実験体ができた。いわばその国の最高傑作が、あんたなんだよ」
ミューリは事の顛末を、静かな声で語る。
「それで? 俺はそのころの記憶がない」
「必死の思いであんたを逃がした、王とその他大勢の吸血鬼は、奮戦したけれど、一晩で決着がつかなかった。朝になって、跡形もなく消えたそうだよ。だからヴォーグには、コートを着ていてって、お願いしてるんだ」
「日よけのためか」
ヴォーグが、合点がいった顔をする。
「そう。こっそりあんたを、連れ出したのは私でね。事情はすべて妃から、聞いたのさ。それでも生かしてほしいと、頼まれてね」
「そう、だったのか……。俺の知らないところで国が滅んでいたとは……」
ヴォーグは難しい顔をする。
「それからあとは、あんたの記憶通りさ。子どものうちに渇きの制御なんてできるわけがないのに、あの連中は血を飲ませようとしなかった。そんなことをしたら死んじまうっていうのを、知らなかったからだろうけど」
ミューリが怒りを、あらわにする。
「なあ、その国を治めていた王と妃の名前を、知りたい」
「ホーエンハイムとサキーノ」
「……そうか。なんで、ミューリは俺を毛嫌いしないんだ? 他の人間達と同じように斬り捨てたりしないのは、どうしてだ?」
ヴォーグは疑問を口にする。
「あんたが立派になるまで、一人前になるまで、一人でも生きられるような力をつけるまでは、私の役目は終わらない」
「そう、か」
歯切れ悪く言葉を返すことしか、できなかった。
翌日日の当たらぬ場所で、リヴォルバーの使い方を教わり、何発か撃ってみる。
「なかなか筋がいいじゃない。これならすぐ上達しそう」
というミューリは、どこか嬉しそうだった。
その言葉を聞きながら、ヴォーグは練習に集中した。
「なにを知ってるって言うんだ?」
ヴォーグは目を丸くして尋ねる。
「ヴォーグ、あんたは人間じゃない。それについてはなんとなく分かってたんだろ?」
真剣な目に射抜かれた、ヴォーグは目を見開く。
「それは分かっていた。そもそも生きるために血が必要とか、俺はいったい何者なのかと思っていた」
「あんたは、吸血鬼だ。その中でも強い力を持つ純血種。一滴も人間の血が混じっていないってこと」
「吸血鬼、なのか。俺は」
「そうだよ。吸血鬼の住む小さい国がこの近くにあったのだけれど、人間の兵の大量投入によって、滅ぼされた。その国の実験体として生を受けた。日光は克服できないまでも、純血種でありながら、人間に近い見た目の実験体ができた。いわばその国の最高傑作が、あんたなんだよ」
ミューリは事の顛末を、静かな声で語る。
「それで? 俺はそのころの記憶がない」
「必死の思いであんたを逃がした、王とその他大勢の吸血鬼は、奮戦したけれど、一晩で決着がつかなかった。朝になって、跡形もなく消えたそうだよ。だからヴォーグには、コートを着ていてって、お願いしてるんだ」
「日よけのためか」
ヴォーグが、合点がいった顔をする。
「そう。こっそりあんたを、連れ出したのは私でね。事情はすべて妃から、聞いたのさ。それでも生かしてほしいと、頼まれてね」
「そう、だったのか……。俺の知らないところで国が滅んでいたとは……」
ヴォーグは難しい顔をする。
「それからあとは、あんたの記憶通りさ。子どものうちに渇きの制御なんてできるわけがないのに、あの連中は血を飲ませようとしなかった。そんなことをしたら死んじまうっていうのを、知らなかったからだろうけど」
ミューリが怒りを、あらわにする。
「なあ、その国を治めていた王と妃の名前を、知りたい」
「ホーエンハイムとサキーノ」
「……そうか。なんで、ミューリは俺を毛嫌いしないんだ? 他の人間達と同じように斬り捨てたりしないのは、どうしてだ?」
ヴォーグは疑問を口にする。
「あんたが立派になるまで、一人前になるまで、一人でも生きられるような力をつけるまでは、私の役目は終わらない」
「そう、か」
歯切れ悪く言葉を返すことしか、できなかった。
翌日日の当たらぬ場所で、リヴォルバーの使い方を教わり、何発か撃ってみる。
「なかなか筋がいいじゃない。これならすぐ上達しそう」
というミューリは、どこか嬉しそうだった。
その言葉を聞きながら、ヴォーグは練習に集中した。
