冷酷無情な射手の吸血鬼に救われた、人として生きることを諦めた娘

 次は脅迫をし続けた、男だった。
 女の次となる相手を探していたようだが、難航しているらしい。
 誰も近寄りたがらないからだ。当然とも言えるが。
 誰にも相手にされないまま夕方となり、しょんぼりしている男にヴォーグが声をかける。
「おい」
「なに? 男に用はないんだけど?」
 落ち込んでいる男は、きっぱりと告げる。
「貴様の脅迫に耐えられる女なんて、どこにもいないぞ」
「そんなことない! たった一人でいいんだ、きっときっと、いるはずだ!」
「そんな願い、俺が断ち切ってやるよ」
「断ち切る……?」
 男は訝しげな顔をする。
「貴様をここで始末すれば、誰も被害に遭わずに済む。貴様はもう、加害者なんだよ」
「加害者だって⁉ なんで、なんで⁉」
 男はヴォーグの言葉で、混乱状態に陥る。
 ――どいつもこいつも、罪の意識がねぇ。質が悪い。
 そんなことを思いながら、ヴォーグは左手に構えたリヴォルバーの引き金を引く。
「罪と認めもできない貴様なんぞ、生きる価値などあるわけねぇよ」
「あああああっ!」
 男は焼けるような痛みに、叫ぶことしかできない。
「まったく。クズばかりだ」
 ヴォーグは吐き捨てると頭を撃ち抜いた。

 最後は、依存し続けた男だった。
 声をかける前に様子を見たヴォーグは、呆れ果てる。
「どうして君は、そんなにも冷たい人になってしまったの? 二人で生きるって決めたじゃないか!」
「生きるためには、逃げることも必要だ。女は貴様との縁を切ってでも、自由になりたかったんだろうさ」
 低い声でヴォーグが、吐き捨てる。
「逃げる? 彼女のことを想っていたのに、なんでそうされなきゃいけない⁉」
 男は半狂乱になる。
「貴様の言うのは、きっと〝愛〟じゃない。ただ心を、縛ろうとし続けた。それに気づいたから女は、消息を絶ったんだ」
「愛だよ! 依存なんかじゃない!」
 男は怒りをぶつける。
「ああ、見ているのも反吐が出る。さっさと殺してやるよ」
 ヴォーグは男に狙いを定めて、二度引き金を引いた。
 頭と心臓を撃ち抜かれた男は、その場でばたりと倒れて動けなくなった。
 
「これ以上、放っておくわけにはいかねぇし」
 鮮血に塗れた右腕を一瞥し、ヴォーグは半日をかけて、男五人を殺した。
 その足で腕のいい診療所を訪れ、手当てをしてもらってから、服屋に顔を出す。

「終わったぞ」
「本当に全員……?」
「殺してきた」
 きっぱりとヴォーグが告げると、女達が安堵する。
「よかったー!」
「あんた達、喜ぶのは後におし。礼が先だよ」
「ありがとうございました!」
 野々宮の言葉でハッとした女達は、揃って頭を下げる。