冷酷無情な射手の吸血鬼に救われた、人として生きることを諦めた娘

「なんで、なんで! そこまで分かってて、どうして痛そうな顔ひとつ、しないんだ!」
 男はわけが分からない、と言わんばかりに叫ぶ。
「分かるに決まってるだろ。俺が見てきたのは、人間の闇ばかり。貴様の思いなぞ、手に取るように分かる。とくに〝人の痛みに寄り添わないクズ〟に対してはな」
「よくも、クズって言ったな⁉ 誰しも自分のことで精いっぱいだから、そんな余裕ない!」
 男は頭に血が上ったらしく、怒号を上げる。
「女一人を幸せにすると一度は誓った身で、よくもまあ、不幸にする方へ舵取りをしたものだ。愚かとしか、言いようがねぇよ」
「今すぐ、その口を塞いでやるっ!」
 伸ばされた手に、ふたつの弾丸を撃ち込む。
塞げる(・・・)()()あれば(・・・)、な」
「ぎゃああああっ!」
 掌を押さえた男は、激しい痛みに叫ぶ。
「ああ、喧しい。貴様に構いすぎたようだな」
 ヴォーグは右腕から、滴り落ちる鮮血を一瞥して呟く。
 絶叫している男を見つめ、引き金を引いた。
 頭を撃ち抜かれた男はそのまま倒れ、二度と動かなかった。
 二人目を殺したヴォーグは冷めた目で骸を一瞥し、次の場所へと向かった。